化学物質過敏症は、一部の人達だけの病気ではありません。誰もが何かのきっかけで急に発症する可能性がある「後天性の病気」なのです。
対象は年齢に関係なく、ひどくなると、外出もままならなくなり、保育園、学校、会社、買い物にも行けず普通の生活が困難になるほどの影響が出てしまいます。
そんな症状を引き起こしてしまう原因の化学物質は、特別なものではありません。私たちは普通の生活をしているだけで化学物質は身近に溢れています。
生活するために必須な三大要素と言われている「衣食住」の、衣類、食べ物、家、すべてに化学物質がふんだんに使われており、私たちは「化学物質まみれ」の生活をしていたのです。
原因不明の体調不良に悩み、医療機関を渡り歩いた人が、「化学物質過敏症」と診断されるまでに、長い時間を要することも多々あるようです。
今日は、その「化学物質過敏症」について具体的に少し詳しく知りたいと思います。『どんポジ』のポジといいます!
原因不明の体調不良
- マンションの見学に行った時に、新築の独特な臭いで具合が悪くなった。
- 頭がフワフワしている。
- 気持ちが悪くて、食欲がない。
- 電車やバスに乗ると、柔軟剤や香水の匂いが充満して耐えられなくなり下車した。
- 家具を買いに行くと、ツーンとした刺激臭で必ず体調を崩す。
- ホームセンターに行くと色々な臭いが充満していて、すぐに頭痛になる。
- 新築に住み始めて体調を崩し、引っ越した。
- 動悸がして落ち着かない。
- マットレスを買ったが、寝ている間中、臭いで頭が痛くなり使えない。
- 教室の臭いや、友達の臭いで登校できなくなる。
- イライラする。
- 教室では授業を受けられなくなり、校庭で受ける。
- 買い物に行く時は、マスクを何重にもする。
- 柔軟剤の臭いで友達と遊べない。
- 臭いで、皮膚が痒くなり、呼吸も辛くなる。
- お店で、柔軟剤やシャンプー類の売り場を通るだけで気分が悪くなる。
少し調べるだけで辛い人が多いことがわかります。臭いを自覚できてる人が多いですが、臭いが原因だと気づかない人もいます。私自身もいくつか体験が重なります。
化学物質過敏症とは
化学物質である、柔軟剤・洗剤・シャンプーリンス・衣類・農薬・タバコ・家具・新建材・塗料・接着剤など、あらゆる物に含まれている化学物質が原因で、頭痛、吐き気、思考力の低下、息苦しさなど、精神的、身体的な症状が広範囲に出る病気です。
「シックハウス症候群」や「香害」も、化学物質過敏症の病気です。他に、「シックビル症候群」「シックスクール」「スメルハラスメント」(スメハラ:臭いの不快感を与える)「コスメティック・バイオレンス」(香水、柔軟剤、化粧品の臭いの不快感)などの言葉も耳にします。
日本では、「化学物質過敏症」(Chemical Sensitivity=CS)を「CS」ともいいますが、欧米では、「多種類化学物質過敏症」(Multiple Chemical Sensitivity=MCS)の略語で、「MCS」が一般的のようです。
子供から大人まで発症
「シックスクール」を考えた時、安全でなければいけない教育機関が、生徒や先生の衣類に付いた柔軟剤の臭い、先生達の香水、化粧品、整髪料やタバコの臭い、床に塗るワックス、校舎の建て替え、校庭の樹木に散布する殺虫剤などで症状が現れたり、症状が悪くなったりします。
重症化すると、保育園から学校、仕事はもちろん普通の生活が送れない状態になってしまいます。
化学物質過敏症の典型的な症状は、集中力や思考力が欠けて、落ち着きがなくなり感情のコントロールがしずらく、怒りやすくなる、などがあります。近年子供に対してよく言われる「キレる!」という症状があるのも、とても気になります。(化学物質過敏症のキレる症状は、子供だけでなく、大人もです)
化学物質って何?
化学物質とは、化学に詳しい方に聞くと、料理で使う「さしすせそ」の砂糖や塩なども、そして水まで、自然の物も人工的な物も全てが化学物質だよ!といわれそうですが、ここでは人工的に作られた体に影響する物と考えてお話しします。特に問題になっている「香害」などの「臭いの元」になっている物質のイメージです。
現在流通している化学物質の中には、発がん性や生態毒性(生態系への化学物質の影響)などの有害物質が数多くあり、大気や水、土壌、食品、生活品などから、人や生態系に影響を与えている恐れがあると、環境省では考えています。
そんなに恐ろしい有害物質は、鍵のかかっている研究所で厳重に保管されている!わけではないのです。赤ちゃんやヨチヨチ歩きの子供でも簡単に呼吸をしたり、触れたり、口に入れたりすることが出来てしまうほど、私たちの生活に密着しているのが、化学物質なのです。
化学物質の商品
身近な化学物質が使われている製品を書き出してみましたが、キリがありません。この中にあるマスクなどは、実際にマスクが臭う商品もありますが、マスクが入っている箱やビニールが臭っていて、マスク本体に臭いを付けてしまうケースも多いのです。
食品のトレー、袋、ラップの箱やパッケージなどが臭い、商品に臭いをつけてしまっているマスクのような物も意外と多く、とても残念です。
以前、本屋さんに行くとトイレに行きたくなるという話しもありました。笑っちゃいそうですが、印刷物のインクの刺激が原因のようです。れっきとした化学物質です。
柔軟剤
合成洗剤
ハミガキ
シャンプー
リンス
衣類
トイレットペーパー
ティッシュペーパー
食品
下着
髪染め
ラップ
ビニール袋
マスク
生活用品
整髪料
香水
制汗スプレー
ノート
手帳
文房具
布団
毛布
家具
木材
DIY用品
ペンキ
車
シート
シートカバー
本・雑誌・新聞
おもちゃ
靴
帽子
枕
カバン
プラスチック製品
洋服ダンス
楽器
財布
電化製品
レインコート
これでもほんの一部です。ほとんどの生活品が化学物質に関係していることがわかりますが、私たちはその中で、生活しています。
あるアンケート調査で、「人工的な香料を不快に感じたことのある人」が、70%を超えているという結果もあります。もちろんまったく平気な方もいらっしゃいますが、臭いの許容量を超えると、誰でも発症の可能性がある病気といわれています。
化学物質過敏症は新しい病気
1990年代に新建材に含まれていた化学物質(ホルムアルデヒド)が原因で、「シックハウス症候群」と診断された人が急増しました。それ依頼、農薬や衣類に使われている化学物質による症状が増え、2009年10月1日に、厚生労働省よって「化学物質過敏症」という病名で登録された、まだまだ新しい病気なのです。
医療機関を何ヵ所も渡り歩かなければ専門的な知識に巡り合えずに、「更年期障害」や「精神疾患」などと診断されたり、「原因不明」として放置される患者が多くいるとみられています。化学物質過敏症と診断されにくい現状が一日も早く改善されることを望みます。
化学物質過敏症の症状
- 頭痛
- 吐き気
- めまい
- 耳鳴り
- 喉の異常
- 思考力の低下
- 集中力の低下
- 落ち着きがなくなる
- 感情の制御の低下
- 発汗の異常
- 自己免疫異常
- 動悸
- 不整脈
- 手足の冷え
- 息苦しさ
- 目がかすむ
- 筋肉痛
- 皮膚炎
- 喘息
- 便秘・下痢
キリがないほど多い症状です。化学物質過敏症はまだ未解明の部分が多い病気なので、症状も原因も多岐にわたります。
化学物質過敏症はなぜ増えた?
環境省のちょっと古い資料で恐縮ですが、具体的な数字が出ていたので、お伝えします。
今までに推定で5万種以上の化学物質が流通しており、工業用として届け出られるものだけでも、毎年約300物質の新しい化学物質が市場に入っているという内容です。毎年300です。驚きです。
1990年代にシックハウス症候群が急増し、2010年ごろから香りが強い柔軟剤の海外製品がブームになると、芳香性の製品が増加し、そのころから臭いの被害が増えてきたと国民生活センターは見ています。
マイクロカプセル製法も一因
マイクロカプセル製法???一言でいえば、香りを長持ちさせる製法です。
簡単に説明しますと、目に見えないほどの、細かいマイクロカプセルで臭いを包み込み、ちょっとした刺激があると、そのカプセルが壊れるようにして、中の香りが空気中に漂う。と、こんな感じです。
刺激が無ければ、ずっと臭いを囲ったままです。
コマーシャルでも、1日匂いが長持ち!、イイ匂い!、汗をかいたらイイ匂いが出る、香りの制汗スプレーとか、こぞって香り製品を宣伝しています・・・。
どうすればイイ?
あなたの体調不良の症状で、化学物質過敏症と同じ症状を思いつくものはありましたか?と、言っても、体調が悪い時はどれかの症状に当てはまってしまいます。では、聞き方をちょっと変えてみます。
最近、変わったことはありませんでしたか?
化学物質過敏症の原因は本当に見つけるのが大変なほど、広範囲に及びます。せめて、最近、変わったことはありませんか?とお聞きしてみます。
- いつも買うものと違う物を買った
- 変わったことをした
- 新しい家具を買った
- 貴金属をプレゼントされた
- ハミガキ剤を変えた
- 職場の部署が新しくなった
- 新しい洋服や下着を買った
- 化粧品を変えた
- 新しいスタッフが入った
- リフォームをした
- 柔軟剤や石鹸、シャンプー、リンスを変えた
などなど、「化学物質の商品」の見出しのリストでも見て、のんびり思い出してみて下さい。もしかすると、体調不良のヒントが分かるかもしれません。
化学物質過敏症の症状はみんなが同じもので、同じ症状が出るわけではないのです。家族はなんでもなくても、自分には耐え難いことが起こるのです。
化学物質過敏症の予防
前述しましたように、化学物質過敏症は未解明の部分が多いので、専門的な医療機関での治療が必要です。では、個人の予防としての対応を考えて見ましょう。
難しいですが、この2つだと思います。
- 今後、新しい化学物質をなるべく取り込まないようにする。
- 今ある化学物質の対応。
順に考えていきます。
新しい化学物質をなるべく取り込まない
生活品を含めて、ほとんどの物が化学物質に関係している上、個々によって影響する物質が違うので、とても厄介ですが、自分はどのような物や環境で影響が出るのかを見極めて判断していけるように気をつけたいところです。
私が、物を買う時に気をつけていることは、まず臭いです。イイ匂いではなく、イヤな臭いです。戸外での利用でも近所に漂うような条件では意味がありません。その化学物質の臭いが原因で、自分や自分以外の人に悪影響を及ぼすのが、化学物質過敏症や香害といわれる空気公害なのです。
- 新しい物は、拭く、洗う、干す、などで、しばらくしてから利用
- ラップも塩化ビニルは避けて、ポリエチレンで無添加
- ドライクリーニングは戸外で干してから
- 合成洗剤や柔軟剤はやめる、臭いを避ける
- 農薬の少ないとされる食品
ピンポイントで原因が見つかったものは、なにしろ避けることだと思います。
今ある化学物質の対応
- 可能な限り、換気を徹底して臭いを充満させないようにする。
- ピンポイントで気が付いた化学物質はできれば処分。断捨離!笑。
- 処分できないものは、良質なポリエチレンの袋などで臭いが漏れないように密閉して保管。
- 掃除をする時は、水拭きで吸着している臭いを取る。なるべく掃除は頻繁に。
- 掃除機のごみパックの抗菌加工は化学物質なので、化学物質をまき散らしてしまうので、なるべく使わない。
- ちょっと違いますが、自分の体内にある化学物質をなるべく外に出せるように、汗をかいて新陳代謝を促進するのも、イイということです。
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まとめ
時代と共に、新しい病気や問題が勃発します。人の力ではどうすることもできないこともたくさんありますが、多くは人間によって改善できることではないかと期待をしています。
本当に大切なものは何なのか!
本当に必要なものは何なのか!
人は一人では生きていけません!
国も、一つの国では成り立ちません!
化学物質、大気汚染・・・以前から問題視していましたが、そろそろ世界中が一つの地球人となって真剣に考える時なんじゃないかと、最近よく思います。
どんな時もポジティブに!の『どんポジ』でした。
参考文献
特定非営利活動法人 化学物質過敏症支援センター
環境省
2003年版『環境白書』
厚生労働省長期慢性疾患総合研究事業アレルギー研究班「化学物質過敏症 思いのほか身近な環境問題」
柔軟剤の臭いで学校に行けない小学生がいること、ご存じでしたか?