このブログは、「腹腔鏡手術とは、どんな手術なのか?」「恐ろしい8つの合併症」や「手術時の輸血(血液製剤)の話し」など、腹腔鏡手術に関する詳しい内容をドクターから説明を受けたので、リアルにお伝えするPAの腹腔鏡手術体験内容です。その後は、お決まりの同意書にサインもします。たぶん!笑『どんポジ』のポジといいます!
『 原発性アルドステロン症【7つの手術適応検査|負荷心電図他】18』の続きです!
私は、10日間の長い検査入院で原発性アルドステロン症が確定し、左の副腎に腫瘍が見つかったので手術で取り除くことにしました。全身麻酔の手術なんて生まれて初めてです。(普通は初めてですよね!)
『 原発性アルドステロン症【10日間の検査入院の費用と流れ】16 』
もちろん普通の手術も経験が無いので、腹腔鏡手術っていうのも初めてです。腹腔鏡手術は普通の開腹手術より回復が早いらしい(シャレではありませんが、ちょっと意識しました!笑)ので、いつもの、まっいっか!で乗りきるつもりです。
今から、手術スタッフの一人でもある泌尿器科のK先生から、手術に関する詳しい説明を受けます。良い話だけではないようです。
腹腔鏡手術とは
9月8日
9月28日に予定している手術は、ざっとこんな感じで書いてあります。書類にはたくさん記載されていますが、必要なところだけを抜粋しました。
病名・病態 | 左 原発性アルドステロン症 |
手術方法 | 左 腹腔鏡下左副腎摘出術 |
麻酔法 | 全身麻酔 |
輸血の必要性 | 無 |
正式名は、腹腔鏡下左副腎摘出術
手術の方法は腹腔鏡(ふくくうきょう)手術です。私は左の副腎をとるので、「腹腔鏡下左副腎摘出術」といいます。
皆さんよくご存じだと思いますが、ドクターが、「メス」と言うと、オペ看がドクターの手に素早くペチッとメスを置き、ドクターはス~っとお腹を切って・・・ドラマや映画でよく見るシーンですが、その手術が従来の開腹術です。腹腔鏡手術は、お腹に5~10ミリの小さな穴を4か所開けての手術です。私の場合は左の副腎を摘出するので、開ける穴の位置はこんな感じです。画像参照:穴の数や場所は、病気の種類や場所で変わります。
副腎は腎臓の上にあり、血圧を上げたりするホルモンを産生する臓器で今回はアルドステロンというホルモンが過剰に産生してしまって、原因となっている腫瘍が左の副腎にあるので、副腎ごと取り除く手術ということです。
『 すぐわかる【原発性アルドステロン症】実例を交えた体験談解説 』
腫瘍だけを取る選択肢の話しは、『 原発性アルドステロン症【検査入院の総合結果|先生の所見】体験記17 』で聞いて納得したので、副腎を全摘します。
副腎は二つあるので一つを取っても、反対側の右側が正常な副腎があるので通常の生活が可能で、基本的には問題ありませんと内分泌内科のG先生も同じ考えでした。その点はまだ心配なところですが、腹を決めました。
お腹に炭酸ガス?
お腹の中で手術作業をしやすいように、お腹を炭酸ガスで膨らませて、スペースを作ります。飲み物でお世話になっているあの炭酸をお腹に入れて手術するなんて初めて知ってビックリです。
お腹に穴を開ける
お腹に4か所(私の場合です)開けたそれぞれの穴から、長い棒の先にひとつは内視鏡(カメラ)、他の棒には、鉗子(先がハサミのような物、挟んだりするもの、掴んだり、切ったり)を状況に合わせ入れ替え、手元で操作します。(昔のオモチャでマジックハンドを思い出しました!)
お腹の中の様子を内視鏡からの映像をモニターで見ながら行います。炭酸ガスも一緒に入れます。
副腎の取り出し方
副腎まわりの血管をクリップで止めたりしながら、長い棒(鉗子)で副腎を剥がしていき、完全に剥がれたら、穴から入れた袋に剥がした副腎を入れて体外へ取り出します。
手術中は開腹手術ではないので、臓器を直接目で見ることはできませんが開腹手術より、腹腔鏡手術の方がモニターで大きく映し出されて、よく見えるので細かい手術ができる。ということです。
コマーシャルで、4Kテレビだの8Kテレビだとか宣伝して、画像がきれいですよ!って聞いても、今のテレビで十分、そんなのいらね~!って思ってましたけど、そうゆう研究開発が医療現場にも影響してるんだなとつくづく感じてしまいました。
副腎摘出手術は腹腔鏡手術が標準?
少し調べると、腹腔鏡手術はとても高度な技術を要するということですが、副腎の摘出手術に関しては、全国ほとんどの病院が腹腔鏡手術で行っているという学会のデータもあるようです。高度な技術を持つドクターがいっぱいいるんですね!
知ると怖い8つの合併症
①全身麻酔
・呼吸用のチューブを口から入れるので、その刺激で、喉の痛みを生じることがありますが、2~3日で自然に回復します。また、チューブの出し入れの際、歯に損傷があることがあります。
・手術後から翌日にかけて、吐き気を感じることがあります。(私はこれで撃沈しました。笑。記事あります)
・手術中の体温低下や麻酔終了後に全身が震えることがあり電気毛布などで温めて対応します。
・全身麻酔自体の危険性もあるので、前日に麻酔科の先生から詳しく説明を受けます。 (次の記事でお伝えします。この記事です→原発性アルドステロン症【手術直前直後の注意事項|全身麻酔】体験記20)
②出血
・副腎を切って取り除くので、出血がどうしても起こります。微量の出血であれば電気メスなどで止められますが場合によって多量の出血があった場合に、お腹を開けて(開腹術)の止血の処置をしなければいけないこともあります。
・また、止まらない出血があった場合は輸血をする可能性もあり、術後の出血が続く場合は再手術もあります。
・手術後も多少の出血があり、その血液などを体外に排出するために、穴の1か所からドレーン(チューブのような管)を入れたままにして手術を終えます。
そのチューブから排出したものを、ベッド脇の専用の袋に溜めていき、出血の様子なども確認します。廃液の状態が良ければ、ドレーン(チューブの管)は手術後4~5日では抜けるようです。尿バッグと並んでいます。
③他の臓器を損傷
・副腎の周辺には、膵臓(すいぞう)、脾臓(ひぞう)、腸管(ちょうかん)など大切な臓器がたくさんあり、癒着が強い場合や損傷を起こしたりした場合は、他の外科の先生が入って開腹手術に移行して処置をすることがります。
④気胸(ききょう)
・手術中に横隔膜を傷つける気胸と言って肺の周りに空気が入ってしまい、その圧力で肺が縮んでしまう。その場合に胸のところにドレーンを入れる処置もすることがあります。
⑤腸閉塞(ちょうへいそく)
・手術後に、腸の癒着が起こり再手術が必要となる場合があります。
⑥創感染(そうかんせん)
・手術中は、感染を予防するために抗生物質を投与しますが、手術でできた創(キズ)が感染をする場合があります。
⑦皮下気腫(ひかきしゅ)
・腹腔鏡手術特有の合併症で、手術中に炭酸ガスをお腹に入れて、作業スペースを作りますが、その炭酸ガスが皮下に溜まること。通常は数日で自然に吸収されます。(これ、ありました。記事ありです)
⑧静脈寒栓症(じょうみゃく そくせんしょう)
・エコノミークラス症候群です。長時間動かないと下肢の静脈内で血の塊(血栓)ができて、その血栓が肺の血管を詰まらせて肺塞栓を起こす危険な合併症。この予防には、弾性ストッキングを履き、空気圧で足の血栓予防のマッサージを間欠的に行う専用の機器(フロートロン)も使います。(間欠的空気圧迫法)
緑のラインが入っている靴下が弾性ストッキングで、長さはひざ下ぐらいまであり、少しきつめですが伸縮性があります。その弾性ストッキングのうえからフットポンプ(フロートロン)を巻いている写真です。管から定期的に自動で空気が入ったりぬけたりして、足(血管?)に圧迫の刺激が伝わり血栓を予防します。影があって少し見にくいですよね!スミマセン!
確か震災の時に車に避難して生活をしている人たちに、エコノミークラス症候群の注意を呼び掛けていたと記憶しています。
輸血・血液製剤についての説明
・輸血を行わないと危険な状態の場合、最小限の量の輸血を行います。献血者には、B型肝炎、C型肝炎、エイズなどの問診や高い感染症スクリーニング(ふるい分け)検査を行っていますが、輸血による感染症の危険もゼロではありません。
ドクター(病院)から、輸血2~3か月後に感染症検査をするように勧められます。今の技術でゼロにできないことが不思議に感じてしまいます。
・発熱、蕁麻疹(じんましん)、アナフィラキーショック、血圧低下、呼吸困難などの免疫反応が出ることがあります。
同意書
それぞれの内容説明を受けたということと、その内容に同意をしたという内容の書類です。
①手術に関する説明書・同意書
腹腔鏡下左副腎摘出術の説明を受け、緊急処置の場合適切な処置を受けることに承諾します。という内容です。
②輸血同意書
輸血の意味、必要性、危険性、輸血の選択肢などの説明を十分に受けて理解したので、その場合は輸血を受けることに同意します。という内容です。
③血液製剤に関する説明と・同意書
説明を十分受け、重篤や合併症を起こす危険性があること。使用する血液製剤の種類、感染症やアレルギーショックの可能性があるため、2~3か月後にウイルス検査を行うこと。という内容です。
④麻酔に関する同意書
この書類は、手術前日に説明を受けた後にサインしますが内容は、十分な説明を受けたので麻酔を受けることに同意をし、緊急処置も受け入れることを承諾するという内容です。
すべての説明が終わったので、サインをした書類をさっさとお持ち帰りかと思いきや、サインをした同意書は入院の時に持って来てくれればいいということなので、同意書を預かり家に帰ってじっくりサインします。
手術前の内分泌内科外来
9月14日
内分泌内科のG先生の外来です。診察前に採血と採尿を済ませ、診察の時間がやって来ました。
早速、G先生に入院日が9月27日で、手術は翌日の28日に決定したことを報告すると、ポジさんの様子が安定しているので、入院が前日なんだと教えてくれた。
手術後の薬は、若い人ならすぐに減ることもあるらしいが、長く高血圧の症状があった場合は、少し時間がかかり薬の量もゼロになるのは中々難しいらしい。
薬は減っていくことの方が多いといわれ、今飲んでいるカリウムを補充するための薬はほぼ間違いなく飲まなくていいようになるとのこと。薬が減るのが楽しみだなぁ!
先生から手術頑張ってくださいと励まされ、妻と一緒に帰路につく。
さぁてあとは、病院から入院の電話を待つだけだ~!