今日のブログは、「原発性アルドステロン症」の診断に必要な負荷試験までの流れと、その流れの中でどのような検査を行うのか、私が実際に体験した内容をわかりやすく正確に解説します。『どんポジ』のポジといいます!
実は、私はかかりつけの個人病院で「原発性アルドステロン症」を見つけていただき、大学病院で検査と治療(私は手術です)をしました。
そして、手術後は降圧薬の量を少なくでき、以前と比べ3種類飲んでいた薬が1種類になりました。薬の量も4分の1まで減らすことができ、血圧も安定しています。もちろん病状などの個人差はありますが、私の場合うまくいけば薬をやめることも可能だと期待しはじめています。
不安な方もいらっしゃると思いますが、私は原発性アルドステロン症だと分かったことがとてもラッキーだったと感じています。原発性アルドステロン症も爆弾を抱えているような病気なので、知らずに放置せずに治療ができたことが本当に良かったと感じています。
私は、抱えてて爆発しちゃったのですが、今後もこの病気の存在を知らなくて治療できないでいることを考えたらゾゾっと恐怖です。笑!
原発性アルドステロン症 負荷試験までの検査の流れ
1.血液検査
①初めは簡単な血液検査で、血中のアルドステロンとレニン(アルドステロンもレニンもホルモンです。)を測定し、基準値よりもアルドステロン値が高くなり、レニンが低い値(比率)であれば、原発性アルドステロン症がまず疑われます。(とっても簡単です。痛くないです。チクッ!だけです。)
②アルドステロンやレニンなど血液中のホルモン値は、採血の姿勢や飲んでいる薬の種類で数値が変わりやすいので正確な血液検査を行うには注意が必要です。
2.CTやMRIの画像検査
血液検査で疑いのチェックが入ると、次にお腹(副腎)の画像を検査します。原発性アルドステロン症は、副腎に腫瘍ができたり、腫れたりするので、視覚的に確認したいために画像検査をします。が、元々小さな副腎にできた、小さな腫瘍なので病変が写らないこともあります。
3.負荷試験
この負荷試験という検査で、私が入院した病院の担当科は『糖尿病・内分泌内科』で、原発性アルドステロン症の検査は、内分泌(ないぶんぴつ)内科です。
負荷試験を行う前に注意が必要です!
私の場合、この時点で服用していた、オルメテック(血圧を下げる薬です)と、
アルダクトン(過剰な水分を排出し血圧を改善する薬です)
という2つの高血圧の薬にストップがかかりました。
アスパラカリウム(カリウムを補充する薬です)
ニフェジピン(高血圧・狭心症発作予防関連の薬です)
という薬はそのまま飲んでも大丈夫ということで、もし血圧が高くなってきたら、中止した薬の代わりに、
カルデナリン(血管を広げて血圧を下げる薬です)
という薬を服用することとなりました。
6週間後の負荷試験、検査項目
- カプトプリル負荷試験
- フロセミド立位負荷試験
- 経口食塩負荷試験
- 生理食塩水負荷試験
など、舌を噛みそうな名前の負荷試験の検査があり、日本内分泌学会では2種類以上の検査で陽性ならば原発性アルドステロン症と確定しています。
2種類以上の負荷試験(検査)が必要な理由としては、1つの試験の確実性が70~90%といわれており、1つの試験が陰性でも原発性アルドステロン症を確実には否定できないため、最低2つの試験を行った上での判断が必要ということです。
いずれも検査方法は、薬などを投与したり点滴して負荷をかけ、その前後の採血や時間を空けた数回の採血などで変化を調べる方法です。安静にしたり、時間がかかる検査もあります。その他、尿を全部溜めて(蓄尿)の検査もやりました。
検査の様子は、『原発性アルドステロン症【検査入院の手続と入院当日の詳細】体験記7』から連載で、体験記12まで詳しく記事にしています。
手術を希望すると、なぜ副腎静脈サンプリング検査をするのか?
気になるところだと思いますので、ここは少し詳しく解説します!
体内に循環する前のアルドステロンホルモン値を比べれば、原因であるホルモンが左右どちらの副腎から多く出ているのかを特定することができるのです。それが、副腎静脈サンプリング検査なのです。
この記事の最後の方に私のすべての検査結果の記事を紹介していますが、その中の副腎静脈サンプリング検査結果で左右の数値が驚きの数値でした!笑
4.副腎静脈サンプリング検査(入院検査)
1.何日も入院し、色々な検査をして原発性アルドステロン症と確定されると、今度は原因のアルドステロンホルモンが左右のどちらの副腎からたくさん出ているのかを調べるため、太ももにある太い血管に細い管(カテーテル)を入れ、副腎のより近い静脈まで進めて血液を採取する検査を行います。これが副腎静脈サンプリング検査です。局所麻酔です。太ももにチクッ!
2.副腎静脈サンプリング検査の時間は、一般に2~3時間と言われています。特に右側の副腎静脈へのカテーテルの挿入は位置や血管の走行角度(カーブがきついらしい!)など個人差が大きく、高い技術が必要なのでとても難しいということです。より複雑な走行だと右の副腎サンプリングは難しくて断念する場合もあるそうです。マジか!何か怖い!!!笑(でも、大丈夫でしたのでご安心ください!)
まとめ
簡単な血液検査から始まり、画像診断、数種類の負荷試験を経て、副腎静脈サンプリング検査を済ませると、すべての検査が終了です。次の段階は、いよいよ治療に向かいますが、私の思いをちょっとまとめてみました。
- 原発性アルドステロン症は、以前は障害者総合支援法の対象となっていたとても珍しい病気でした。
- 原発性アルドステロン症のわかりやすい症状は高血圧なので、普通はただの高血圧でスルーされている方が多いかもしれません。
- 私も原発性アルドステロン症とわかったのは、高血圧が原因の脳出血で撃沈し、後遺症の右半身麻痺が残った後でした。チョットした血液検査がきっかけで、その高血圧の原因が実は原発性アルドステロン症だとわかったのです。もっと早くに分かっていたら、脳出血を防げて、後遺症もなかったかも知れません。(おしかったなぁ~!タラレバ、笑)
- 日本の高血圧の人は、約4,300万人といわれている中で、原発性アルドステロン症と推測される人数は高血圧症の10%とも20%とも言われています。個人病院などにも認知度がもっともっと上がれば簡単な血液検査をきっかけに原発性アルドステロン症が見つかり、大きな病気を発症する前に防げるかもしれません。
- この原発性アルドステロン症は、普通の高血圧よりも、脳卒中、心肥大、心房細動、冠動脈疾患、心不全などの脳、心血管合併症の頻度が高いということが分かっているので、普通の高血圧として放置されていると、危険度が増すのです!私みたいに・・・!これが爆弾です!笑
- 高血圧の人や、身近に高血圧の人がいらっしゃる方はちょっとだけアクションを起こしたら、大病が防げるかもしれません・・・けど、確率から考えると原発性アルドステロン症ではない方の人が多いので、大きなお世話と思われてしまうかもしれません!病院が好きな人はいないですし!
最後に一言、
けっして病院の回し者ではありません!笑