猫は、「侵略的外来種ワースト100」に選ばれているってご存じでしたか?
もう1つオマケに、「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト( 環境省・農林水産省2014 )」にも選ばれています。
「カミツキガメ」や「ブラックバス」とかは、外来種って知っていたのですが、まさかニャンコが外来種で、それも「侵略的外来種」だったとはチョット驚きました。
近年の記憶に残っている侵略的外来種は、平成29(2017年)年5月26日、中国広東省から出航し兵庫県の神戸港に到着したコンテナの内部から発見された「アリ」です。
このアリは、その後6月9日にヒアリ(Solenopsis invicta)と確認されたのです。
まさにこのアリが「侵略的外来種(特定外来生物)」でした。因みにカミツキガメも特定外来生物です。(環境省 特定外来生物一覧より)
ヒアリは強い攻撃性と強い毒性を持ち、刺されればアナフィラキシー・ショックを起こして死亡する可能性があるという、人体にとって危険な生物として、当時、日本中がざわついたのを覚えています。『どんポジ』のポジといいます!
外来種とは
そもそも外来種とは、国外から、来た種類の生物のことを言いますが、国外から来た生物といっても、一生懸命に自力で飛んで来た渡り鳥や、頑張って自力で泳いで来た回遊魚は外来種とは言いません。
えっ!じゃぁ外来種って何?
ハイ、外来種とは、人間によって持ち込まれた生物のことを言っているのです。
侵略的外来種
ただの外来種ではなくて「侵略的」と付くと、何か恐ろしいイメージです。エイリアンのような、笑!
侵略的外来種というのは、国外から来た外来生物の中でも自然環境に大きな影響を与え、生物のバランスなどを脅かすおそれのある生物のこと、としています。
その中で、猫は世界や日本の「侵略的外来種ワースト100」に選ばれていますが、日本では全ての猫が侵略的外来種ではなく、ノネコのみが対象になっています。(環境省 自然環境・生物多様性 希少な野生動物種の保全から)
鳥類をはじめとする小動物から見ると、猫は脅威になっています。
特定外来生物
侵略的外来種の中でも、特に地域や自然環境、生態系や人の生命・身体、農林水産業等に被害を与えるものを国が法律に基づき指定した物を特定外来生物といいます。(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)
冒頭にも出てきました、ヒアリやカミツキガメの他に、比較的有名?な生物を上げて見ると、アライグマ、ウシガエル、アメリカザリガニなどが特定外来生物です。
以下分類された特定外来生物の種類と生物数です。植物も19種類該当します。
- 哺乳類(25種類)
- 鳥類(7種類)
- 爬虫類(21種類)
- 両生類(15種類)
- 魚類(26種類)
- 昆虫類(25種類)
- 甲殻類(6種類)
- クモ・サソリ類(7種類)
- 軟体動物等(5種類)
- 植物(19種類)
(出典:環境省 特定外来生物等一覧(最終更新:令和3年8月13日))
猫は何処から来たの?
じゃあ、猫が外来種っていうなら、何処から来たのでしょう?
ハイ、中東の砂漠地帯です。
およそ9500年前に中東付近での「リビアヤマネコ」の家畜化(イエネコ)が始まりとされています。
日本猫を含む、すべてのイエネコの祖先はこの中東砂漠地帯にいたリビアヤマネコであることが、米英独等の国際チームが2007年にミトコンドリアDNA解析で確認し、サイエンス 2007/6/29電子版に発表されました。
猫はいつ来たの?
猫は国外から来たことはわかりましたが、日本にはいつ頃来たのでしょうか?
ハイ、弥生時代です!
奈良時代の初期に遣唐使(日本が派遣した中国とのパイプ役)たちが、中国から持ち帰る教典をネズミから守るために猫を一緒に船に乗せたのが始まりといわれて来ましたが、その後、長崎県壱岐市の「カラカミ遺跡」からイエネコの骨が発掘され、通説よりもずっと以前の弥生時代には日本に猫がいたということが濃厚になりました。
ノネコと野良猫の違いは?
ノネコとは
ノネコとは、ペットで飼われていた猫が野生化したものや、その子孫にあたる猫のことをいいます。
野生化した猫なので、飼い主はいないため町や集落を離れて、エサは自分で常時野生生物であるネズミなどの小動物を捕食して生活している猫のことを、ノネコといいます。
野良猫とは
野良猫とは、ノネコの発生源となる猫で、ノネコと同じように飼い主はいませんが、市街地や地域で生息しながら、エサは人から貰っており、人間社会に依存して生息している放し飼いの猫のことをいいます。
猫はどんな被害を与える?
侵略的外来種というのは、前述したように国外から来た外来生物の中でも自然環境に大きな影響を与え、生物のバランスなどを脅かすおそれのある生物をいいます。
侵略的外来種と位置付けされてしまったノネコは、具体的にいったい何が悪いのでしょうか?
人間から微生物まで地球上の全ての、何百、何千万種といわれている生き物は、直接または間接的に支え合うことでバランスを保っています。
ノネコは小動物である哺乳類や鳥類、爬虫類、両生類、昆虫類などの生物を食べてしまいます。それ以外にも、エサとしてではなく動くものに飛びついたり、遊びの部分としてのハンティングも行い、小動物を傷つけてしまうのです。
人間に家畜化された猫が捨てられたり、外に出てエサを求める猫が増えると、小動物は猫に食べられて徐々に減っていきます。
野生の世界で、小動物がたくさん食べられてしまうと、捕食者の猫もエサが無くなり猫の数も減少してバランスが保たれるのですが、猫は人間にエサを貰えるので小動物が減ったり絶滅しても一向に困らないのです。
この崩れたバランスが生態系にひずみが生じさせ、地球温暖化が加速したり海面上昇や異常気象に影響が出るといわれています。たったひとつの生態系が崩れることで地球全体に影響が出てしまうということなのです。
まとめ
野良猫は動物愛護法にて愛護動物としてみなされます。
みだりに殺したりすれば、5 年以下の懲役または 500万円以下の罰金が科せられます。
それに対して、ノネコは鳥獣保護法の有害鳥獣駆除という名目で自治体が捕獲することが可能です。
飼い主が捨てた猫や、野良猫、ノネコの外見は同じ猫なのに、判断ができるのでしょうか?
動物の愛護及び管理に関する法律(通称:動物愛護管理法)が令和2年6月1日から、動物を適正に飼養するための規制が強化されたので、いくつかの要点をご紹介します。
- 無責任な餌やりなどによって、周辺の生活環境が損なわれているときは、原因者に指導、勧告、命令ができるようになりました。命令に違反した場合は、50万以下の罰金が科せられます。
- 犬猫を殺傷した場合、
「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」から「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」に引き上げられました。 - 犬猫等を遺棄または虐待した場合も、
「100万円以下の罰金」から「1年以下の懲役または100 万円以下の罰金」に引き上げられました。 - 犬や猫の所有者は、適正な飼養が困難となるおそれがある場合は、繁殖防止のために不妊去勢手術等の措置を講ずるよう義務づけられました。
最後に、政府広報オンラインからの「ペットを飼う前も、飼ってからも考えよう 飼い主の「責任」とは?」の要点をご紹介して終わります。当たり前のことだらけですが、ペットを飼いたいと思っている方は必ず真剣に考えたいことだと感じます。
【飼う前に考えること】
- ペットを飼える住宅ですか?転居や転勤の予定はありませんか?
- 飼いたい動物の特性や飼育に必要な環境について調べましたか?
- 家族全員が飼うことに賛成していますか?
- 家族の中に動物アレルギーの人はいませんか?
- 毎日欠かさずペットの世話に手間と時間をかけられますか?
- 近隣に迷惑をかけないように配慮できますか?
- ペットの一生にかかる費用を考えましたか?
- 万が一、飼えなくなった時のことを考えていますか?
【飼った後の、飼い主の責任】
-
- その命を終えるまで責任を持つ
- 動物の病気や感染症について正しい知識を持ち、予防に努める
- 他人への迷惑を防ぐ
- むやみに繁殖させないようにする
- 盗難や迷子を防ぐため、所有者を明らかにする
最後までお読みいただきありがとうございました。
どんな時もポジティブに!の「どんポジ」でした!
参考文献
環境省 自然環境・生物多様性 希少な野生動物種 希少種とノネコ・ノラネコ
環境省 自然環境局 日本の外来種対策
環境省 特定外来生物一覧
山口県動物愛護センター
政府広報オンライン ペットを飼う前も、飼ってからも考えよう 飼い主の「責任」とは?