「猫の迷惑」や「猫とのトラブル」が増えています。
今日、猫に関する苦情や相談が行政や動物愛護団体の窓口に多く持ち込まれています。住宅環境が変化し都市化が進むと猫が増えるといわれており、今後ますます猫の数も苦情も増えていくと思われます。(「はじめに‐環境省」から一部引用)
東京都における犬及び猫の飼育実態調査の概要(平成29年度)では、猫に対して迷惑に感じたことがあるという回答は、回答者全体の63.5%であり、ないという回答の31.9%の概ね、2倍になったとしています。
また迷惑や苦情の内容は、糞、尿、鳴き声、ゴミ荒らし、などに続き、臭い、毛、アレルギー、感染症など命にも係わる衛生面なども各地に広がっています。
そして、そのトラブルをきっかけに、徐々に対人関係が悪化し刑事事件まで発展するケースや世田谷や川崎、名古屋などの殺人事件のように最悪の事態も起きているのも現実です。
この問題は、自分の周りで突如として起こることもあり、他人ごとではありません。
民間団体や市区町村などの公的機関における「ペットに関する調査内容」では、隣人の猫を飼うマナーの悪さが共通の調査結果として表面化しているようです。『どんポジ』のポジといいます!
「猫 迷惑!?」「猫とのトラブル」悪いのは猫ではない?!
結論から言いますと、猫が悪いわけではないという私見です!
もともと猫は動物であり、猫の習性を当然持っています。その一つに、自分より小さい獲物を捕らえたり捕食したりする習性があり、感染症の原因にもなり得るネズミやゴキブリ(G)などを食べたり遊んだりもする動物です。
猫がネズミやGを食べたりする行為は、動物としての当たり前のことなのです。
人間がペットにしたり、猫は家族だと勝手に位置付けて自分の生活の中に引っ張り込んでいますが、当の猫はその前に、れっきとした本能が備わっている動物なのです。決して猫が悪いわけではないのです。
人々が猫に対しての良いところだけではなく、デメリットになり得る動物的な本能や習性なども含め正確な情報を共有して対応していくことが問われているのだと感じます。
妊婦さんが猫のフンなどからトキソプラズマに感染する確率は低い?
猫の繁殖力の高さ
猫の迷惑やトラブルは猫の繁殖力の高さにも影響しているようです。
特に、住宅地に猫の数が増えると被害や迷惑などの影響が当然増えるわけです。数が増えればそれだけトラブルが絶えないことにもなり得ます。
そこで、猫の繁殖力の高さが実際どれくらいなのかを調べて見ると、環境省がわかりやすく説明していますので、要点をまとめてみました。
- メス猫は、生後半年ほどで子どもを産める
- 1回に4~8匹(頭)の子どもを産む
- 1年で2~4回産める
生まれた子供たちが繁殖を続けたと仮定した場合、
- 1年後には、20匹以上
- 2年後には、80匹以上
- 3年後には、2,000匹以上
に増えるほどの繁殖能力があるということを表しています。
出典:環境省パンフレット「もっと飼いたい?」
飼いきれずに捨てられた1匹の猫が3年後には2000匹になる計算です。生態系や環境さえ許せば、素晴らしい繁殖力なのですが。。。
猫の引取り
引き取られた猫の多くは殺処分されています。
「都道府県等は犬及び猫の引取りを求められた場合は、引き取らなければならない」という動物愛護管理法第18条がありましたが、2012年に改正され、引取りの要請があっても、場合によっては断ることができるようになりました。
今までは、ブリーダーやペットショップ、民間人、悪質な繁殖業者などが年老いた猫や病気の猫、飼うことが大変になった猫などを行政に丸投げしていたといわれています。
引取り要請を、断れるようになったことで、引取り後の殺処分数は減少しているようです。殺処分数の減少は当然評価されることだと感じますが、引取りを断られた猫の行き先がとても気になります。
この猫の引取りは、財政負担だけでなく、環境衛生上や繁殖、動物愛護の面からも重要な課題としています。
猫 迷惑の実例
マンション共用部分の通路や自転車置き場、屋外でのエサやりをよく見かけ、トラブルもよく耳にします。この種の猫のエサやりは、以前から社会問題視されており、事件にも発展しています。
先ほどの東京都の調査では、飼い主のいない猫へのエサやりを「良くないと思う」とした回答が最も多く、全体の64.7%を占め「良いと思う」との回答は11.2%です。
環境省でも推奨している自分の家の中だけで猫を飼っている方は、近隣の状況も考え責任を持って飼っている方が多く、当然トラブルも少ないように思います。
トラブルを起こし得る人は周りの迷惑などをまったく考えていない、ごく一部のマナーや常識・ルールを逸脱している人がトラブルの原因となっていることが多いということが調査結果でもわかっています。この問題も決して猫が悪いわけではないのです。
現に私も、ペット禁止のマンションで2階の隣の家が猫を飼い始めると、朝方に猫の暴れる音で目が覚めたり、ベランダの植木鉢の破損、洗濯物やベランダに糞尿での不衛生と悪臭が始まりました。
その上、野良猫をマンションの共用部分に引き入れて、夜中や早朝の人目に付かない時間を見計らい隠れてマンション内でエサやりをしていますので、猫が数匹集まるようになっています。
マンション内の通路やベランダ、駐輪場、駐車場(エンジンルーム内が毛だらけの状態もあります)などに侵入しているため、糞尿や毛などが浮遊していたり、毎度のエサ入れの放置などで衛生的にも多くの住民が迷惑を被っています。
ここで、共用部分の多いマンションでの猫の迷惑や被害とはどのようなものがあるのか、内容を調べてみましたので、いくつか書き出してみます。
- ペット禁止のマンションと知りながら猫を飼っている
- ネコを飼っていてベランダにも出しているので、クサイ臭いや毛が飛んでくる
- 隣の家で猫を飼っていて、その猫が我が家の植木鉢を倒して割ったりしている
- 隣の猫が我が家のベランダに糞尿する
- ベランダにある物に尿をかけ強烈な臭い
- ベランダ側に通路があるので、ネコが布団に乗るのでベランダに布団を干せない
- 洗濯物に尿をかけられ臭いが取れず、また不衛生なので捨てた
- マンションの通路には猫の毛が丸まって風で移動している
- わざわざマンションの通路や階段を上らせて入りやすいように訓練してる、異常です
- 猫のアレルギーがあるので無神経なエサやりには心底腹が立つ
- 泣き声がうるさい
- 隣のねこの早朝の動きの音で毎日目が覚めて体調を崩す
- 玄関や窓を開けると猫や毛が入って来るので少しの間も開けられない
- 畑を荒らす。糞尿被害
- 駐車場の他人の車の下に餌を置いて放置
- 車のボンネットの中に猫が入る
- 野良猫を2階まで引き込んでマンション内でエサやりを続ける
- 野良猫の餌やりを注意しても聞かずに、異常なほどコソコソと早朝や夜に餌やりをする
- エサや水を入れた使い捨ての容器が、いつも放置したまま不衛生で臭う
- 駐輪場や通路に猫の糞尿が放置される
- 自転車やバイクのサドルに糞尿や嘔吐の被害
- 車のボンネットに乗り傷を付ける
- 駐輪場で自転車を数台で囲って、エサやり場にしている
- 駐輪場に置いてある自転車のカゴの中に猫が入り、カゴが毛だらけで使えない
- 猫の病気があること、住人の子どもや他の人たちが猫のアレルギーと診断されたことがある
- 近所に多大な迷惑がかかり、生活に支障が出ている
- 近所のマンションのおばさんが人のマンションに来て野良ネコにエサやりをしている
- 人のマンション敷地に来て野良猫を飼いならし勝手に餌やりをしている
- マナーが悪い人たちは、最悪誰かの命を奪うことになっても責任は感じないのだろうか?
- 数年前から非常識な餌やりが始まり、それまで好きだった猫が嫌いになってしまった
ザっと調べるだけでも大量の事例が見つかり、キリがないのでこの辺にしておきます。あなたが経験した内容はありましたか?笑!
毎年5万件の苦情
環境省での報告では、東京都・横浜市・大阪市・神戸市の自治体に寄せられた猫の苦情件数の合計は毎年5万件を超えているとのことです。
通報しない方の方が多いと予測すれば、5万件はほんの氷山の一角かもしれませんし、たった4つの自治体だけの数字です。それだけ多くの方が迷惑を被っているわけです。
猫嫌いを増やしていないか
猫のことが好きでペットにしたりエサやりをしているのでしょうが、近隣の人たちに影響する健康被害や、生活に影響している迷惑(もはや損害)をかけ続けるということは、結果的には猫嫌いを増やしているのが現実のように思えます。
猫が悪いわけではないのに。。。
対策
「可愛い」から買おう!「子供が欲しがっているから買ってあげたい!」ではなく、大人が事前に、本当に一生責任を持って飼えることができるのかを考えなければなりません。当然のことなのですが。。。
また、猫の捕食性行動、縄張り意識、狩猟本能、マーキング行動、毛づくろい、費用、飽きないか、病気に対する心構え、介護、などの現実を理解すること。
特に住宅地やマンションでの猫の飼育は、行動や、縄張り意識、狩猟本能、泣き声などを考え、どのような飼い方をすれば地域でネコと共生できるのか?を、同時に考えることで対策が見え始めます。
動物観は人それぞれ違います。猫が大好きな方もいれば、大嫌いな方、アレルギーのある方、感染症に弱い病気の方などが身近に必ずいると思って考えることが、大きな対策になります。
自分が好きなら、皆が好き!ではないのです!
具体的には、
- 完全室内飼いの徹底(泣き声、臭い、物音、毛の浮遊など迷惑が無くなるわけではありません)
- 身元の表示(飼い主の責任を明確にする。(例:東京都の身元表示首輪などは7.1%でマイクロチップを入れている猫は8.5%)
- 不妊去勢手術(不幸な命を生み出さないためとしていますが、人が命にどこまで係わっていいのか、難しくて私の答えは未だ出ていませんが・・・)
- 最低限のマナーやルールは守る(ペット禁止マンション、餌やりのルール、餌入れや糞尿の放置など)・・・でも、マナーやルールがわかる人や守る人は迷惑はかけてませんよね。。。
- 費用や責任を一生負担(エサ代、病院代、老化介護、必要なもの、etc)
- 猫の行動時間(明け方と夕暮れに活発になるネコの生活がストレスにならないか)
まとめ
猫は人に身近なだけに感染症や菌の影響も受けやすい動物といえます。可愛いというだけで、後先考えずに飼うと大変なことになるのがわかりました。
客観的に考えた場合、上記の飼育禁止のマンションの事例のように、マンション内に猫がウロウロして糞尿したり毛が浮遊したり、猫を勝手に引き込んでエサやりをしていれば、他の住人や子供がマンション内で感染症や菌などに触れる機会が増えるわけです。マンションの価値も下がりますが・・・。
皆さんが知らず知らずのうちに体調を崩したり、風邪に似た症状が長引いたりしている原因が、もしかしたら猫の可能性も大いにあるわけです。現実に体調を崩した子どもが小児科で、原因は猫のアレルギーといわれたお子さんも上記事例にいました。
人間も病気にかかります。人は治療を受けたり人にうつさないようにしますが、猫や動物はそのようなマナーは知りません。
ほんの一部の方たちが常識やルールを無視してみんなに迷惑(損害)をかけ続けているという感覚は、猫に対する好き、嫌い、可愛い、かわいそう、などの感情の違いだけでは済まされることではないと、つくづく実感しました。
人も猫も不幸なことが起きないよう切に望みます。人と人、人と猫がより良い関係を築くためにも・・・!
最後までお読みいただきありがとうございました。
どんな時もポジティブに!の、どんポジでした。
参考文献
環境省 猫の室内飼育
環境省 はじめに-環境省
東京都における犬及び猫の飼育実態調査の概要(平成29年度)
東京都豊島区「ペットと近隣関係」に関する調査結果
厚生労働省ホームページ「動物由来感染症」
埼玉県保健医療部 動物指導センター