マイクロプラスチック問題とは、私たちが捨てたプラスチックのごみが、海へ流れ出たことで生態系や環境破壊に繋がり、地球規模で人体への悪影響も明らかになってきたという問題です。
プラスチックが人体に悪影響があると聞いても、「風が吹けば桶屋が儲かる」のように、一見、因果関係が無いように思えますが、人々が使っていたプラスチックが長い年月をかけて微細なマイクロプラスチックになり、回りまわって人体に影響を及ぼしているのです。
具体的には、
- マイクロプラスチックは有害物質を運び人体にも悪影響
- 海の生物がマイクロプラスチックを食べることで生態系に変化
- 地球の極地である南極でもマイクロプラスチックごみが見つかる汚染拡大
- 暗い色のマイクロプラスチックごみは、極地の雪解けを加速させ海面上昇を早める可能性
など、多岐にわたる影響が表面化してきています。
今日は、マイクロプラスチック問題とは何か、人体への悪影響についての内容を分かりやすく解説します。『どんポジ』のポジといいます!
あなたが1日に捨てるプラスチックごみの量は?
私たちが毎日捨てている「プラスチックごみ」は、1世帯でおおよそ1kgと言われています。
「プラスチックごみ」と聞くとすぐに思い浮かぶのがペットボトルやビニール袋ですが、実は、毎日欠かさず使う身近なものにも、多くのマイクロプラスチックが含まれていることをご存じでしょうか?
そのマイクロプラスチックが含まれている身近なものをいくつか上げてみます。
洗濯洗剤、柔軟剤、シャンプー、歯磨き粉、洗顔料、化粧品(ファンデーション・口紅・チーク・アイシャドー)など、まだまだたくさんありますが、この中に、あなたが使っているものはありましたか?
柔軟剤の臭いで学校に行けない小学生がいること、ご存じでしたか?
身近にある「プラスチックごみ」を毎日大量に出し続けている影響が、いよいよ地球規模で緊迫した状態になって来たのです。
それって、以前から緊迫してるって言ってない?!
と、聞き流してしまいそうでが、その通りで相当昔から指摘され緊迫した状態が続いているのです。
今日、私たちがペットボトルやビニール袋を捨てたからと言って、私たちの生活も、世界も何も変わることなく明日がやって来ます。
性質上、すぐにその影響を目視や体が分かるものではないことが、以前から緊迫した状態が続いていても実感できない原因だと感じます。
しかし、実際には日に日に沈殿しているプラスチックごみの影響が増し、数十年たった今になりプラスチックごみが汚染物質を運び、その影響で人体や環境、生態系に深刻な影響が出ているということが、明らかになってきました。
この問題は、毎日の生活を送る私たち個人の行動から、地球規模の問題にまで発展しプラスチックごみの影響が、世界中で深刻な問題とされています。
この地に、まだまだ子供や孫、ひ孫、玄孫(やしゃご)ここからググりました➡来孫(らいそん)、昆孫(こんそん)・・・が、安心して暮らしていけるようにするには、私たちが今を変えなければいけないのかもしれません。私たちが原因なのですから!
私も含め、1人1人、何かを感じることができたらいいなぁと思っています!
マイクロプラスチックとは
マイクロプラスチックとは、名前からしてもプラスチックがとてもマイクロ(微細)になったものというのは、皆さんもご存じかと思います。
では、どれくらい細かいのかといいますと、環境省では、直径5㎜未満のプラスチックの粒子または、微細なプラスチックの断片としています。5㎜未満ですので目に見えないマイクロプラスチックが大量に存在しています。
世界基準での測定方法がないため、測定に異なるフィルターを使うことで、マイクロプラスチックの定義が研究者によっては、1㎜未満とする研究者や、5㎜未満とする研究者の違いこそありますが、海に流れ出た海洋ゴミ問題(マイクロプラスチックごみ)が、環境や人体に悪影響を及ぼし、深刻な状況だという捉え方は世界共通です。
2種類のマイクロプラスチック
マイクロプラスチックには大きく分けて「一次マイクロプラスチック」と「二次マイクロプラスチック」という2種類のマイクロプラスチックがありますので、ご紹介します。
-
- 「一次 マイクロプラスチック」は、
初めからマイクロなもの➡人間が製造過程で意図的に作り出した、すでにマイクロなプラスチックです。
歯磨き粉、化粧品、ハンドソープ、洗顔料や工業用研磨剤に使用されていたり、プラスチック製品を製造するための原料として使われるもの - 「二次 マイクロプラスチック」は、
段々とマイクロになるもの➡徐々に壊れて、マイクロなプラスチックになるもの。
ペットボトルやビニール袋などのプラスチック製品が捨てられ、紫外線や、波などの外的な力で徐々に崩壊し微細(5㎜未満)なプラスチックになったもので、一次マイクロプラスチックよりもはるかに多い量です。
- 「一次 マイクロプラスチック」は、
歯磨き粉や化粧品などに使われている「一次 マイクロプラスチック」は「マイクロビーズ」といわれるもので、分かりやすく言えば研磨剤(スクラブ剤)です。大きさは、目に見えないほどの微細で0.001㎜~0.1㎜です。
マイクロプラスチック問題って何?
まず、マイクロプラスチックの特長を認識したいと思います。この特長がそのまま問題点になっていきます。
- マイクロプラスチックは自然界には戻らずに何百年も消えない
- マイクロなので台所やお風呂、下水処理施設をすり抜けて海に流れてしまう
- マイクロプラスチックが汚染物質を運んでいる
- 海の生き物からの連鎖で、人体に悪影響がある
- 南極大陸でもマイクロプラスチックが見つかるほど地球規模での影響が拡大
- プラスチック自体が「発がん性」「内分泌錯乱」などを引き起こす物質を発生させる
悪者扱いにするとマイクロプラスチックがかわいそうですが(便利な恩恵もたくさん受けているので・・・)、人工的に作り出されたマイクロプラスチックは自然界に戻るまでに100年単位の時間がかかります。マイクロプラスチックは自然界には戻らないと考えた方がいいようです。
例えば、ペットボトルは450年、建築用の断熱材は6500年も分解までに時間がかかるといわれています。私たちの寿命をはるかに超えた時間まで、私たちが使ったプラスチックは残り続けることになるわけです。未曽有の影響も拡大しながら残り続けます。
マイクロプラスチックの特長からまとめると、街に捨てられたペットボトルやビニール袋、そして洗顔料や歯磨き粉などに入っているマイクロプラスチックは家庭の排水溝ネットをすり抜け、下水処理場も抜け、さらに川へと流されたマイクロプラスチックは海へと流出し、長い年月をかけて最も隔離されている極地にさえ悪影響を及ぼすほど、地球規模の問題ということになります。
年間1200万トンのプラスチックが海へ
プラスチックの世界生産量は、年間約4億1500万トンで、その内、海に流出しているプラスチックは約1200万トンといわれています。(2020年国際自然保護連合IUCN)
大きな原因は、プラスチックを適切に処理をしなかったことや、台風、川の氾濫、津波などの災害が原因でプラスチックが流出してしまうのです。もちろん世界中の人たちのモラルも原因になっています。
63億トンのプラスチックごみ
この1200万トンという数値は、今までの累積量ではなく、毎年海へ流れ出ている量なのです。
1950年以降生産されたプラスチックは83億トンを超えて、その内63億トンがごみとして廃棄されています。(国際的な非営利科学協会(AAAS)発行 Science Advancesより)
このままの状況が続くと、2050年には海洋の魚の量よりプラスチックの量(重量)が多くなると予測されています。(環境省・世界経済フォーラムより)
海洋に流出する世界の推計量としては、次のようになっています。
- 中国 353万t / 年
- インドネシア 129万t / 年
- フィリピン 75万t / 年
- ベトナム 73万t / 年
- スリランカ 64万t / 年
- アメリカ 11万t / 年
- 日本 6万t / 年
環境省・世界経済フォーラム(The New Plastics Economy: Rethinking the future of plastics (2016.Jan. World Economic Forum)より)
信じられない船長の行動
余談ですが、数十年前に釣り船に乗り、釣りを満喫して寄港中に、釣り船の船長が掃除を始めました。港に着く前に船内をキレイにしたかったのでしょう。舵は自動操舵で勝手に港に向かっています。
キレイ好きな船長さんなんだと感心していました・・・が、その時、信じられない光景が目に飛び込んで来たのです。
なんと、弁当の残りや容器、ペットボトルなど、ごみが入ったビニール袋を当たり前のように、次から次へと海に投げ入れているのです。それも当たり前の様に!ごく自然に!
1つ、2つとごみの入ったビニール袋や針などの仕掛けや小さなビニール袋が入ったごみ箱もひっくり返して、中身を海に捨てています。
ショックでした。まして海や自然の恩恵を受けて生活している人が・・・です。
マイクロプラスチックが汚染物質を運ぶ
モノの表面には、色々な物質が付着します。マイクロプラスチックも例外ではなく静電作用などによって、生物の健康を脅かす寄生虫や有害物質などを付着します。
特に、マイクロプラスチックは発がん性のあるダイオキシン類やPCBが付着しやすいといわれています。
マイクロプラスチックが汚染物質を吸着すると、なぜ問題になるのでしょうか?
マイクロプラスチックを飲み込む生物
マイクロプラスチックは、世界最深部約10,920mのマリアナ海溝の海底や世界最高峰である8848mのエベレストの山頂付近でも発見されています。
南極でも見つかっていますので、地球上にマイクロプラスチックが存在しない場所はなさそうです。長い年月をかけ昔から緊迫した状態が続いていることの結果です。
汚染物質が付着しているマイクロプラスチックを飲み込んで死んでしまう生物や、汚染物質が付着しているマイクロプラスチックを飲み込んだ魚を私たちは食べていることになります。
東京湾や大阪湾など国内5か所の湾で魚の消化器官を調べた調査結果を見つけました。東京湾でカタクチイワシを採取した約8割でマイクロプラスチックが見つかり、次いで大阪湾の約5割としています。全体としては採取した魚の内、約4割の魚からマイクロプラスチックが検出されたようです。
マイクロプラスチックの海洋密度は、世界の平均値より日本近海が27倍も高いといわれています。これもショックです。
血管や眼球に入り込んだマイクロビーズ
今までは、血液中のプラスチック粒子の報告はありませんでしたが、アムステルダム自由大学研究グループの報告によれば、血液中からマイクロプラスチックが発見されたとしています。(https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0160412022001258)
血液の中にまでマイクロプラスチックが侵入していたなんて、ゾッとしてしまいました。
また、洗顔料や歯磨き粉に含まれるマイクロプラスチック(マイクロビーズ)は、眼球や歯肉に入り込んだりすることもわかっています。
化粧品などにはポリエチレン(ポリエチレビーズ等)や、スクラブ剤(プラスチックビーズ等)などが配合されている商品があります。他に高融点ポリエチレン未、ポリエチレン未、などの表示もあります。購入前に商品を調べてみる価値も大いにありだと感じました。
まとめ
対策としては、
- 私たちの個人レベルでもプラスチック製品をなるべく使わない、買わない。
- プラスチックの管理を真剣に考える。処理を的確に行えるように協力する。
- 人のモラルの向上。ポイ捨てから海へ流出を防ぐ。
- 何しろ、河川や海に流出するごみを減らす。
- 価格が少々高くなっても、プラスチックに変わる安全なものを望む。
無理のない、継続ができる対策を自分で探し、実行していきたいと思います。
どんな時もポジティブに!のどんポジでした。