今は「氷河期」ってご存じでしたか?
信じがたい話しですが、氷河学での氷河期とは北半球と南半球の両方に広大な氷床(大陸の上にある氷)があることを意味しており、その定義によれば地球は現在氷河期で、その氷河期の中でも比較的暖かい「間氷期」であるとしています。
今日は海面上昇の話しですが、氷は海面上昇に大きな影響を与えているので、ちょっと氷河期の話しをしてみます。
氷河期は地球が誕生してから現在までに4回あったのですが、一番古い氷河期は24億年前で、次の氷河期までには数万年以上もかかるといわれるほど、氷河期の周期は天文学的な数字なのです。
因みに、今までの氷河期の中で気温が一番低い氷河期では、現在の3倍の氷床に覆われていたそうです。
今日は、地球温暖化の影響で海水の膨張や極地の氷が溶けた場合、本当に緊迫した海面の上昇に繋がるのか、以下のポイントを中心にわかりやすく掘り下げていきたいと思います。『どんポジ』のポジといいます!
- 南極の氷は溶けていない。むしろ増え続けているので海水面は下がる?!
- 北極海の氷が溶けても海面は上昇しない?!
- グリーンランドの氷が溶けると7mほど海面上昇は起こる?!
- 21世紀の海面上昇要因の一番は、海水が膨らむこと?!
地球上の氷
まず氷の話しを先にしていきます。地球上の氷が何処にどれ位あるのか、その割合を見てみます。
地球上にある氷の内、99%が南極と北極の極地にあります。
そして、その極地の中の90%を占める氷が南極にあり、次いでグリーンランドの氷が7%、アラスカ・カナダの氷が2%と続きます。
数値を棒グラフにしてみると北極よりも南極の方が圧倒的に氷がたくさんあることが一目瞭然でした。南極と北極の氷の量は、比べモノにならないほどの差があったのですね!
圧倒的な量を誇る南極の氷ですが、現在その膨大な南極の氷の影響よりも、ほんの数パーセントしかないグリーンランドの氷の方が注目されています。
何で?
という感じですが、次に南極と北極の氷は違うという話しをします。
南極と北極の氷は違う
南極の氷は暖かくて、北極の氷は冷たい!イヤイヤ違う違う、スミマセン!小学生にも笑ってもらえないですよね・・・笑!
無意識に「南」は暖かで「北」は寒いのイメージですが、極地の場合は北極よりも南極の方が寒いのです。
海面上昇の原因としてよく言われていることは、地球温暖化が進むと極地の氷が溶けて海面が上昇し海抜の低い地帯は被害を受けたり水没すると騒がれています。
温暖化➡氷が溶ける➡海面上昇➡水没
その通りで、自然に納得してしまう内容です。が、少し掘り下げてみますと・・・
北極の氷は海の上にある
極地のひとつである北極点周辺の海も巨大な氷に覆われていますので、北極も大きな大陸のように見えるかもしれませんが、北極は海(北極海)になっています。
北極点周辺のほどんどの氷は海水が凍ってできた海氷と呼ばれるものであり、海に浮いている氷で大陸ではありません。
海に浮いているといっても海面から飛び出している山のような量の氷が溶ければ、海水面に影響が出そうですが、コップの水に浮かんでいる氷が溶けても水位が変わらない「アルキメデスの原理」(円周率の計算とも深い関係がある、あのギリシャ人です)と同じように、元々海に浮いている氷が溶けても海水面に影響はありません。
それなのになぜグリーンランドの氷が問題視されてるの?
ですよね!!
それは、北極圏に三分の二が含まれるグリーンランドの氷は海に浮いている氷ではなく、大陸の上にある巨大な氷床だからなのです。最大で3,000mを超える厚さの氷も存在します。
「アルキメデスの原理」とは違い、海に浮いている氷ではありませんので、グリーンランドの氷が溶けた場合、新たに溶けた水が海に流れ込み水位に影響を与えるので問題視されているのです。
コップに新たな水を注ぐと、水位が上がり水が溢れてしまうのと同じ現象です。
グリーンランドの氷はたったの7%といっても、地球上の海水面を7mも上昇させるほどの氷の量ですので、注目せざるを得ないというわけです。
南極の氷は大陸の上にある
えっ?じゃあ南極の氷は?
ですよね!!
北極と違い、南極は海ではありません。南極といわれる氷の下には南極大陸という広大な大陸があります。面積は約1,388万平方kmで、ロシアの約1,710万平方kmに次いで2番目の大きさです。
その広大な大陸の上に最大で4,500mの厚さの氷があり平均でも2,450mの厚い氷で覆われています。富士山より遥かに高い氷の山です。
海に浮いている氷ではないので、この氷が溶けると大変です。
この巨大な量の南極の氷がもし溶けると、溶けた水は海に流れ込み、地球上の海水面を40m~70m上昇させてしまうといわれています。
70メートル!!!???
こうしてはいられない数字です・・・よね!
南極の氷は地球上にある全体の氷の90%であり、グリーンランドの氷はたった7%、そして南極と同じように大陸の上にある氷床なのに、なぜ少ない量のグリーンランドの氷の方が問題だといわれているのでしょうか!
南極の氷は溶けていない?
温暖化になり南極の氷が溶けてしまうと今よりも水位が何十メートルも上がり、地球は大変なことになってしまう!と、言われていますが、2015年にNASAの論文でも南極の氷河の総質量は増えており海面上昇の原因にはならないと結論付けているのです。
他の論文でも氷河は1990年から増え続けているという内容や、南極は過去30年冷え続けているとする学者もいるようです。
今後も地球温暖化が進むと南極では降雪が増えるなどで、氷床の増加が考えられ、むしろ海水面は下がるのではないかいう説も一部で有力になっているようですが・・・。
もちろん自然環境は人間の計り知れるものではありませんが、どうやら南極の氷よりもグリーンランドの氷の方が問題という理由は、現状では南極の氷は溶けていない、むしろ増加傾向にあるからという学者からのようです。
じゃあ、北極圏のグリーンランドの氷も増えてるんじゃないの?
ですよね!!
グリーンランドの氷は溶けている?
2019年の熱波では、1日120億トン以上の氷が溶けたことが話題になりました。
これまでの氷が溶けた量で最高だった2012年の4,640億トンを上回り、2019年には過去最高の5,320億トンに上ったとする内容を国際研究チームがまとめました。
この量は、地球の平均海面を1.5ミリメートル上昇させた量です。
過去20年間、グリーンランドの融解が前例にないほど加速しており、北極圏での温暖化が急速に進んでいると国際研究チームは警告しています。
海水体積の膨張
もう1つの大きな海面上昇の原因が海水の膨張です。21世紀の海面上昇原因の最も大きい原因が、この海水体積の膨張です。(国際的な専門家で作る機構である「気候変動に関する政府間パネル:IPCC」第5次評価報告書より)
海水の体積は、海水が温まって膨張することにより増えます。やかんにいっぱいの水を入れて沸騰させると水が膨張してやかんから溢れて出て慌てた経験があると思います。
それと同じように温暖化によって水温が高くなると海水が膨張して体積が増えることで、海面上昇に繋がるのです。
では、現実に海水の熱膨張でどれ位の海面上昇が起きるのでしょうか!?
- 20℃の海水が1℃上昇すると、海水の体積は0.025%膨張する
- 海面から500mまで2℃海水温が上昇すると、海面は25㎝上昇する
としています。(気候変動に伴う海面上昇量に関する最近の議論 気象庁 気象研究所 全球大気海洋研究部第四研究室より)
海面上昇の原因順は、
- 海の水温が高くなることで、海水の体積が膨張
- 氷河の融解
- グリーンランド氷床の融解
2013年気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書より参照しましたが、南極の氷床の影響はまだ結論が出ていないということです。
まとめ
南極の氷は安全!というわけではなく、今は溶けているか溶けていないかを見極めている!ということのようですね。
もしも、南極の氷が溶けたら、地球上の海水面が40~70mも上昇する大変な事態になってしまうということに変わりはありませんが、温暖化になると氷が溶けるのではなく、逆に氷が増加するということなら、今はその心配はなさそうですが・・・!
しかし、グリーンランドの氷が急速に溶けだしているのはハッキリしているようですので、現況ではグリーンランドの氷が問題だということです。
グリーンランドの氷は南極よりも遥かに少ないのですが、その少ない量の氷でも溶けてしまうと海水面が7mも上昇すると推測されています。
南極の氷の融解で海面上昇の70mとは桁が違いますが、現実に7mという上昇も地球規模で大変なことが起こるのは、間違いありません。
特に地球の環境問題は、個人レベルや国レベル、世界レベルで考えて協力しなければ解決はできないものと理解しています。
せめて私個人でできることは、温暖化の原因である二酸化炭素排出量を減らすこと、
- 節電や省エネをして二酸化炭素排出量を抑えること
- 前向きに二酸化炭素排出を減らす対策をして成果を出している企業を応援すること
- 日中のエアコンなどは、カーテンなどを上手く使うこと
- パソコンを使わない時は関連のモニターやプリンターなどの電源をすべてオフにすること
- しばらく使わない電化製品のコンセントを抜くこと
- 睡眠前には必要のない物のコンセントを抜く
他には何ができるかなぁ?
あなたなりの地球を救う大作戦をチョット考えて、できれば実行してみて下さいませ!!!
1人1人の行動がやがて大きな力になり、人類を救うと信じて!
では、また・・・!
どんな時もポジティブに!の「どんポジ」でした。
参考文献
Proceedings of the National Academy of Sciences(米国科学アカデミー機関紙)
Forty-six years of Greenland Ice Sheet mass balance from 1972 to 2018
(1972 年から 2018 年までの 46 年間のグリーンランド氷床の物質収支)
名古屋大学 宇宙地球環境研究所
東海大学木村研究室
国立環境研究所 地球環境研究センター 気候モデリング・解析研究室
環境省 南極キッズ 南極博士
気候変動に関する政府間パネル:IPCC第5次評価報告書
気候変動に伴う海面上昇量に関する最近の議論 気象庁 気象研究所 全球大気海洋研究部第四研究室