春になると中国やモンゴル砂漠の砂が偏西風に乗って日本まで飛んでくる気象現象や砂のことを「黄砂」といいます。
その黄砂の量が増加傾向にあり、日本に降下する砂の量は年間約200万トンといわれています。この黄砂、悪影響がなければイイのですがそうもいかないようです・・・。
その一つが、黄砂は大気汚染物質(有害物質)を吸着した砂だということ。
その大気汚染物質を吸着した砂が大量に降り注いてきますので、アレルギー症状から呼吸器疾患、循環器疾患など、人体への影響も広がっています。
具体的な黄砂の影響は、救急搬送数が増え、脳梗塞、心筋梗塞などの発症増加の関連性があるという調査結果が、京都大学や鳥取大学、国立環境研究所などの研究機関から報告されています。
皆さんよくご存じの「黄砂」は単なる自然現象から、今では大きな環境問題として認識が高まってきているのです。
日本でも、2009年にPM2.5(微小粒子状物質)の大気環境基準が新設され、徐々に影響が明らかになってきました。
この現象「日本は無関係」ともいえない黄砂の影響について一緒に再認識しませんか?
今日は、黄砂についてわかりやすい解説をして、再認識したいと思います。『どんポジ』のポジといいます!
黄砂の大きさ
まず、黄砂の大きさを知っておくと話しがスムーズに進みますので大きさ比べから解説します。
大きさの単位は、μm(マイクロメートル)という、長さの単位を使います。
「1μm」は、1mmの千分の1の長さで、0.001mmとなります。・・・といってもピンとこないので、目でわかるイメージ図(下図)を作ってみました。一番大きいのが毛髪ですので、黄砂はかなり小さな粒子であることがわかります。
もっと小さい、PM2.5や細菌、排気ガス、ウィルスなどは、視力検査のようですね!笑
粒子は小さいと肺の奥に入り込んで気管支炎や喘息を引き起こします。粒子が大きいと鼻や喉などの上気道で捕まえることができて、もっと小さい粒子は呼吸中に吐き出されやすくなります。
1~5μmあたりが一番肺に沈着しやすい大きさ、といわれています。
黄砂とは
黄砂とは、字のごとく黄ばんだ「微細な砂」(0.004mm)のことです。
また、中国の工業化が進み森林を切り開いて土地開発が進んだ結果、砂漠のように乾燥した土地が増え、その砂が多くの有害物質を含み、偏西風に乗って日本の大気中に降下するという「気象現象」も指しています。
黄砂に関しては地域や国により認識度が異なり、中国では死者が出るほどの重大な被害や砂漠化の問題があるため強く認識されております。
一方の日本では春一番の季節に表れる自然現象と捉えられていましたが、2000年~2002年には黄砂が急激に増加し、人体や環境に影響があることの認識を強めています。最近では秋の黄砂飛来もありました。
黄砂の影響がヤバイ
人体への影響
- アレルギー症状
黄砂のアレルギー症状への影響は、黄砂の濃度が高い日ほど眼、鼻、皮膚などのアレルギー症状を発症する人が多くなります。また、黄砂の日に皮膚症状が表れる人は金属アレルギーの傾向があるといわれています。 - 呼吸器疾患
黄砂による喘息入院は特に小児と高齢者への影響が多く、黄砂飛来後の呼吸機能の低下がみられます。さらに、肺炎での入院の増加、肺炎による死亡との関連も報告されています。 - 循環器疾患
黄砂飛来と救急搬送、脳梗塞、心筋梗塞の入院、発症増加の関連があり、植込み型除細動器(ICD)の患者には不整脈との関連もわかってきています。
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地域への影響
- 黄砂が降ってくる地域の果樹園、畑、ビニールハウスなどへの農作物被害や生活環境にも重大な被害
- 黄砂による視野の悪化による飛行機の運航障害が発生
- 自動車、洗濯物への黄砂粒子の付着
- 黄砂がエンジン内に吸い込まれることでの故障増加
- 大気汚染物質を黄砂が吸着して各地へ運んでしまう媒体
- 海へは、プランクトンに影響を及ぼし海の生態系にも影響を与える
気候への影響
- 大気中に黄砂の粒子が浮遊することで、雲を発生させたりし雨が降ることで地球全体の気候に影響を及ぼす
- 黄砂粒子が太陽光を散らばせたり吸収したりすることが、地球の気温に影響を及ぼす重要な要因の一つと考えられている
- 黄砂粒子は、地球の大気を加熱あるいは冷却する効果があるので、地球温暖化または、地球寒冷化に影響することが考えられる
対策
本来の対策は、
黄砂が環境問題になっている根本的な原因を解決することが一番です・・・が、世界中の経済や思わくが絡み合っているので、世界中の人々、世界中のリーダーたちが協力をしなければ解決は難しいと感じてしまいます。
個人レベルでの対策は、
- 黄砂が多い日は特に不要不急の外出を控える
- マスクをする
- 黄砂飛来情報を確認する
マスクは、私たちがコロナ禍で習慣になっている不織布(織らない布状のもの)で黄砂の吸入を軽減するのに有効とされています。
黄砂の情報は、環境省から便利なサイトがありますので都度確認して下さい⇩
環境省 黄砂飛来情報「環境省の黄砂観測ライダー」
http://www2.env.go.jp/dss/kosa/
環境相大気汚染物質広域監視システム「そらまめくん」
https://soramame.env.go.jp/
まとめ
日本に黄砂の飛来が急増した後の2004年から、気象庁の黄砂予報が始まり、黄砂の認識が徐々に広がってきました。
昨今、コロナ禍でマスクや手洗い、消毒が浸透し自然な習慣になっていますので、いつの間にかインフルエンザや黄砂、PM2.5などの注意意識が薄くなってはいますが、コロナ対策のお陰で実際にインフルエンザの感染は減少しています。
黄砂の日は、従来の基準である浮遊粒子状物質よりも小さなPM2.5(微小粒子状物質)の濃度も高まりますので、状況によっては、特にマスクのできない赤ちゃんや子どもなど外出を控えるように環境庁でも注意喚起をしています。
私も、エアコンを使い、パソコンを使い、キレイな道で車に乗り、スーパーでは数ある食品の中から選べる買い物をしています。経済成長の恩恵をたくさん受けている1人です。
経済成長はイイことだと思ってはいるのですが、
目先だけの経済成長はリスクが付いてくるということなのでしょうか!?
便利さの副作用は環境破壊なのでしょうか!?
「空」は世界中、繋がってるんだよなぁ・・・自分は何ができるんだろうか…ブツブツ!
では、また!
最後までお読みいただきありがとうございました。
どんな時もポジティブに!の「どんポジ」でした!
参考文献
環境省 > 大気環境・自動車対策 > 黄砂 > 黄砂ってなに?
環境省 環境保健部環境安全課「黄砂とその健康影響について」(2019年3月発行)
国立環境研究所 黄砂が循環器・呼吸器疾患に及ぼす短期ばく露影響に関する研究
鳥取大学 黄砂のヒト健康への影響に対する臨床および基礎研究の融合アプローチ
京都大学 黄砂のアレルギー症状への影響(京都・富山・鳥取の妊婦での調査