腎臓の上に乗っかているとても小さな臓器が副腎です。大きさは親指ほど!
私には左の副腎がありません。副腎の病気である「原発性アルドステロン症」という病気を治すために左の副腎を摘出してしまったのです。
副腎は、私たちが生きていくために無くてはならないホルモンを作り(産生)、血液にのせて(分泌)体のバランスを一定に保たせるとても重要な働きをしています。
そして、副腎は私たちの毎日の生活にも影響することがわかってきており「副腎疲労」という病態があるように「副腎が原因で疲れが抜けなくて辛い! 何もやる気が起きない!」という症状の方が増えているようです。この副腎疲労の症状を「うつ」や「適応障害」と診断されてしまう場合もあるようですので注意が必要です。
また、副腎の病気は脳卒中や心不全などにも影響してしまう合併症がありますので、やむなく副腎を摘出する場合が出てきます。
実は、私は副腎の病気だとわかる前に、合併症でやられてしまいました。いきなり脳出血でした。笑!
てっきり、普通の高血圧(本態性高血圧)が脳出血の原因だと思っていたのですが、脳出血後に検査をした結果、以前は障害者総合支援法の対象となっていた「原発性アルドステロン症」という副腎の病気が原因だということがわかり、副腎を手術で摘出したのです。
ですので、今はスッキリ、原発性アルドステロン症は完治して、合併症の高血圧も珍しいことに全く残りませんでした。いたって健康!と言いたいところですが、副腎を摘出後に疲れやすくなってしまったのです。辛い場合は仕事の復帰もままならない状態になってしまうのです。
今日は、自分の体験談も含め副腎の摘出に悩んでいる方にも、副腎を少し深く知ることと、副腎を摘出するとどうなるのかを、掘り下げてみたいと思います。「どんポジ」のポジといいます!
副腎摘出すると
副腎摘出するとどうなるのかを調べてみますと、国立がん研究センター東病院をはじめ、ほとんどの病院やドクターが副腎は2つあるので、基本的には1つあれば、ホルモンを同じように作る(産生)ことができるので、片側を摘出しても問題はありませんという見解です。
私も悩んだ結果、担当ドクターの同じ様な見解を聞いて、副腎摘出に踏み切りました・・・が、元々体力だけには自信があった私ですが、自分で情けないほど疲れやすくなってしまったのです。他に原因を考えても見当たりませんので、副腎摘出の影響と考えています。
しかし後悔はしていません。何故かと言いますと、私の場合、副腎に腫瘍(良性)がある限り常に爆弾を抱えている状態で、爆発しないように一生、薬でコントロールしなければならないからです。薬の副作用も大きな要因ですが、もう脳出血はイヤだ!です。笑
とはいえ、辛い時は仕事復帰もままならない状態と、薬の服用とを比べると、とても悩んでしまいましたが、繰り返しですが、後悔はしていません。笑!
では、副腎摘出すると、どの様な影響があるのか探っていきます。
摘出後の症状をリストアップ
副腎腫瘍の摘出後の症状に困っている方々の内容をピックアップしてみました。
- 疲れやすい
- だるい
- 寝つきが悪い
- 朝起きれない
- 眠りが浅い
- イライラ
- 精神不安定
- 急に体が熱くなる
- 発熱
- めまい
- 息苦しい
- 脱力感
- 吐き気
- 食欲不振
- 頭痛
・・・etc
病気によっての違いはありますが、女性に多いクッシング症候群の場合、ステロイドホルモンの内服補充が必要になることもあります。
そして、摘出後のこの症状は、とても軽い症状から日常生活に戻れないほどの症状まで個体差が大きいのです。またこの症状は、他の病気との区別が難しく、冒頭にもお話ししましたように例えば、副腎疲労の症状とうつ状態の症状が似ているなど、診断が難しいところもあります。
原発性アルドステロン症 だるい【手術15日目|仕事復帰できない】26
なぜ副腎を摘出する?
副腎の病気はいくつかあります。その中で、副腎にできた腫瘍が原因で病気が発症することがあるのです。その病気は一種類ではなく、副腎は多くのホルモンを分泌している中で、腫瘍がどのホルモンに影響して発症したかで、症状や病名はかわります。
例えば、私のケースですと、副腎にできた腫瘍がアルドステロンというホルモンに影響して、そのアルドステロンホルモンを過剰に分泌したことで起こった病気が「原発性アルドステロン症」となります。
腫瘍がコルチゾールというホルモンに影響した場合は、クッシング症候群という病気です。この様に、腫瘍が影響するホルモンによって病気が変わります。そして、副腎にできる腫瘍の総称を副腎腫瘍といいます。
ほとんどが良性腫瘍
腫瘍と聞くと「がん」を連想してしまいますが、副腎腫瘍の場合はほとんどが良性の腫瘍です。
「副腎がん」の罹患率(発症率みたいな意味)は、100万人あたり、2人です。ゼロに近いような数字ですが、副腎がん以外に肺がんや胃がんなどの他臓器から転移することもあるので、副腎がんになる確率はゼロではありません。
私の場合は術後に良性腫瘍だったことがわかり、やはり安心しました。また、良性の副腎腫瘍が悪性化して副腎がんになることはないといわれています。
良性でも摘出?
では、良性ならば取らなくても・・・と思いますが、良性腫瘍であってもその腫瘍がホルモンに影響し過剰にホルモンが作られる状態を放置することで、私の様に脳出血を発症したり、最悪は、命を落とす影響があるので、状況的に手術が可能(両方の副腎に腫瘍がある場合は基本内服治療です)であれば第一の選択肢として根本的な原因を排除する腫瘍の摘出が考えられます。
副腎にできた腫瘍部分だけの摘出手術を行うドクター(病院)もいますが、ほとんどの病院のドクターは、副腎ごと腫瘍を摘出する方法を選択しているようです。
私の手術を行った大学病院のドクターにも問いましたが、腫瘍を残さずに安全に摘出するには、副腎と一緒に、副腎ごと摘出するのが最善だという見解でした。
なぜ副腎を摘出する?の答えは、副腎にできたホルモンに影響する「腫瘍を確実に取り除くため」です。
2種類の副腎腫瘍
副腎腫瘍でも、大きく分けると「ホルモンに影響する腫瘍」と「ホルモンに影響しない腫瘍」の2つに分類されます。
- 機能性副腎腫瘍
ホルモンを過剰に作り分泌して影響させる腫瘍 - 非機能性副腎腫瘍
ホルモンを作らない、腫瘍
があり、副腎摘出は影響が大きい「1.の機能性副腎腫瘍」が手術の対象です。「2.の非機能性副腎腫瘍」の場合は、通常経過観察が行われます。ホルモンに異常をきたしてない状態ですが、徐々に大きくなる腫瘍や3~4cmを超える腫瘍の場合で、悪性腫瘍の否定ができない場合は摘出を勧められます。
副腎腫瘍の病名
副腎にできる腫瘍が原因の主な病気は、
- 原発性アルドステロン症
- クッシング症候群
- 褐色細胞腫
- 悪性褐色細胞腫
- 副腎偶発腫瘍(インシデンタローマ)
- 副腎がん(副腎皮質がん)
私は一番上の、原発性アルドステロン症から、合併症の二次性高血圧を発症した結果、脳出血を引き起こしました。脳出血が先ですが・・・笑!
副腎髄質ホルモンは「うつ病」や「パニック障害」にも作用していた
まとめ
副腎に腫瘍ができたので、根本原因を取り除くために思い切ってバッサリ副腎を摘出したのに、摘出したことが原因でその後の体調が思わしくないなんて・・・。
私の場合は、副腎を1つ取ったことで、何しろ、疲れやすくなったことは、間違いありません。
お医者様が、副腎は1つでも大丈夫ですよ!の意味は、もしかして、副腎を1つ取っても死にはしませんよ!という意味かもと・・・笑
今、悩んでいる方はもっと悩んでしまいますよね!すみません!でも副腎を取ってしまった後に、戻すこともできないいし!笑。
でも、答えは出ないかもしれませんが、自分にとって一番納得がいくリスクの少ないと思われる治療法を選択するわけです。
私が副腎の摘出ではなく、薬物治療を選択していたら、今、薬の副作用で苦しんでいるかもしれないのです。これは誰にも分らんちんです!笑。
結論は、今の身体の状態を受け入れて、押したり引いたりしながら付き合っていくのが一番イイのかなぁと思っています。自分の結論に後悔していても何も始まらないし、変わりません。今が一番だと思いながら、前を向いて・・・なんて!笑
【腎機能改善のための3つの注意点】原発性アルドステロン症31
最後までお読みいただき、大変ありがとうございました。
どんな時もポジティブに!の「どんポジ」でした。
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参考文献
国立衛生研究所 偶発的に発見された副腎腫瘤に関する ACR の適切性基準(ACR Appropriateness Criteria on Incidentally Discovered Adrenal Mass)
国立研究開発法人 科学技術振興機構 非機能性腫瘍 J-STAGE 日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌