「幸せホルモン」の代名詞を持つ「セロトニン」ですが、多ければ「幸せもいっぱい!」というわけではありません。
脳内にある「神経伝達物質」としてのセロトニンは、過剰に分泌したり不足した状態になると「うつ病」や「パニック障害」などの精神疾患を引き起こす原因になると考えられています。(2022年7月20日にソースがロンドン大学の論文中には、うつ病がセロトニン低下によって引き起こされるという証拠は存在しませんという研究発表もあります。)
今日は、私たちの生活にとても身近で影響の深いセロトニンの「幸せホルモン」だけではない部分にも焦点を当てて調べてみました。『どんポジ』のポジといいます!
セロトニンとは?
セロトニンは、脳の興奮を抑え、心身をリラックスさせるという重要な役割の神経伝達物質です。
セロトニン以外にも、脳内の感情や記憶力などの重要な機能に関与し、バランスを崩すと精神面に大きな影響を与える有名な物質が「ノルアドレナリン」と「ドパミン」です
セロトニンは、「ノルアドレナリン」と「ドパミン」の分泌を制御することで、精神を安定させています。
神経伝達物質には「興奮系」と「抑制系」があり、ストレスを受けると分泌される「ストレス制御」に関与するノルアドレナリンや「意欲に関与」するドパミンは興奮系の物質で、交感神経に影響します。
セロトニンは、気分に関与する神経伝達物質で、リラックスしている時に分泌され、副交感神経と関係のある「抑制系」の物質です。
そして、その「興奮系」の「ノルアドレナリン」と「ドパミン」が過剰になって暴走しないように調節し、適度なバランスを保ち、ストレス、攻撃性、不安、快楽、依存などをコントロールして、精神を穏やかに安定させているのが「抑制系」のセロトニンなのです。
また、セロトニンは睡眠を促すホルモンである「メラトニン」の原料でもありますので、セロトニンが不足すると睡眠の質が低下したり、不眠の原因にも関係する物質です。
セロトニンが作られる場所は?
セロトニンは腸に90%、脳には2%
まず知っておきたいことは、セロトニンの約90%は腸にあり、血小板中には約8%、神経伝達物質として自律神経に関与しているセロトニンは、脳内の中枢神経系に約2%しか存在していないということです。
脳内に2%しかないっていわれても、腸にはいっぱいあるから大丈夫だね!と思われた方、
ブッブーです!笑。
腸のセロトニンでは補充できない
実は、脳はとっても大事な場所なので、血液からの病原体や有害物質が脳に侵入しないように、何でもかんでも脳には入れてあげないよ!という、バリア(血液脳関門:Blood Brain Barrier)があります。
そのため、脳以外で作られたセロトニンなどの物質は「血液脳関門」を通れないのです。腸でいっぱい作られたセロトニンがあっても脳内に入れないために補充することができません。
しかし、「脳内のセロトニン」と「腸のセロトニン」が全く無関係というわけではありません。脳の状態が腸に影響し、腸の状態が脳に影響する「脳腸相関」という密接な関係があることがわかっています。補充はできないのですが、腸のセロトニンが増えるほど、脳内のセロトニンもたくさん作られるともいわれています。
最近よく耳にする「腸内環境(腸内細菌)」を整えることが、脳の精神を安定させることにも影響しているのです。
元々、脳内で働けるのは、脳内で作られたものだけですので、脳内で安定したセロトニンを作れるようにすることが重要になります。
セロトニンの原料を摂る
そのためには、セロトニンの原料である「トリプトファン」という物質を食物から摂ることが必要になります。そしてこのトリプトファンは主に腸内細菌によって作られ、腸内細菌の働きによって脳に入ることができ、そこでセロトニンが作られるわけです。
このトリプトファンというのは、たんぱく質に含まれている必須アミノ酸で、セロトニンの原料なのですが、トリプトファンからセロトニンを作る過程で「ビタミンB6」「マグネシウム」などが必要になるので一緒に摂ります。
トリプトファンもまた、過剰摂取や長期の服用はセロトニンが増加し危険性があるといわれていますので注意が必要です。
食事から摂るものが、直接、脳の神経の働きに影響するということですね。食べ物ってやっぱり大事なのですね!
セロトニンの働き
セロトニンの働きは、イライラや怒りなどの感情を抑制し、精神を安定させて幸福感を得やすくします。具体的には、「イライラや怒りのノルアドレナリン」と「喜びや快楽のドパミン」の分泌を制御しバランスをとることで精神を安定させています。分子構造は精神安定剤とよく似ているといわれています。
ですので、起きている間ずっと分泌しているセロトニンも、ストレスが続くと頑張ってバランスをとっていたセロトニンが不足してしまい、平常心が保てないばかりか、感情のブレーキがきかなくなり、キレたり、気力がなくなったりしてしまいます。
現代人の生活では、多くの人々がセロトニンが不足している状態にあるといわれています。
セロトニンが過剰だと
セロトニンの過剰は通常、うつ病治療のために使う、セロトニン作動系の抗うつ剤を多量に服用したり、2つの薬の相互作用によっても起こるようで「セロトニン症候群(薬物反応)」が出現する場合があります。
症状は、不安、錯乱、興奮、せん妄、ふるえ、筋肉のけいれん、心拍数増加、高血圧、発汗、嘔吐、下痢などです。
体内での影響は、ほとんどが腸で作られていますので、腸の動き(腸蠕動)に影響しています。消化管でセロトニンが過剰に分泌されると下痢になり、不足すると便秘になるといわれています。
セロトニンが不足だと
セロトニンが不足すると、気分が落ち込む、意欲の低下、疲労感が抜けない、集中力の低下、協調性の欠如、寝つきが悪い、不眠、イライラする、暴力的になる、キレやすい、攻撃性が高まる、などの症状が起き、うつ病を引き起こす原因にもなるといわれています。
男性は女性より約52%も多くの脳内セロトニンを作ることができるようです。女性のセロトニンの不足は、更年期障害による女性ホルモンの減少が関係しているということもわかってきました。
副腎髄質ホルモンは「うつ病」や「パニック障害」にも作用していた
まとめ
現代人は、室内にいる時間を多く望み、日光を避け、夜型の生活、不安やストレスも多い生活環境の中、日本でも、世界でも、うつ症状(うつ病)が増加傾向にあるといわれています。
そして、パニック障害、社会不安障害、強迫性障害なども、その原因の1つに「ノルアドレナリン」「ドパミン」「セロトニン」などの分泌量の変化だと考えられています。
実際、治療にはセロトニンを増やす抗うつ剤の効果が認められているということです。総合失調症や双極性障害の治療薬にもセロトニンへの作用があるといわれ、精神の安定、不安定にセロトニンが広く深く関与していることがわかります。
「朝日と共に起きて、夕日と共に寝る」なんていう言葉が不可能なことは知っていますが、少しだけでも意識すれば、想像以上に気分の良い毎日をゲットできるかもしれませんね!笑。
できない理由を見つけないで、まずは試してみませんか!笑
ちょっと、元気がなかったりしたら、太陽の光を浴びながら、両手を広げて、大きな声で、きもちいい~~~って大声で叫んでみるのもイイかもです。
通報されないように、広ーい場所を探して下さいね!笑
最後までお読みいただき、大変ありがとうございました。
どんな時もポジティブに!の「どんポジ」でした。
参考文献
厚生労働省 e-ヘルスネット セロトニン serotonin
J-STAGE セロトニン欠乏脳-キレる脳・鬱の脳を鍛え直す-
第129回日本医学会シンポジウム うつ病の脳科学的研究:最近の話題
Nature Communications Median raphe serotonergic neurons projecting to the interpeduncular nucleus control preference and aversion
JR東日本:and E 「セロトニン(セロ活)」で毎日元気に過ごす方法
No evidence that depression is caused by low serotonin levels, finds comprehensive review