コレステロールと聞くと、体に悪いというマイナスイメージを持っている人が多いかも知れません!しかし、コレステロールが無いと私たちは生きていけないほど、身体にとって無くてはならない大切なものなのです。
私たちの体にあるコレステロール、食事から摂るコレステロールはわずか20%で、残りの80%は自分の体の中で作られています。ほとんどのコレステロールは体内で作られています。
コレステロールは主に肝臓で作られていますが、全身のあらゆるところでコレステロールは必要とされているので、肝臓から全身の細部にまでコレステロールをくまなく運ばなければなりません。いったいどのように、運んでいるのでしょうか?
実は、この運び方がスゴイのです!
今日はコレステロールがどのようにして、全身に運ばれていくのかを、わかりやすくまとめてみました。『どんポジ』のポジといいます!
コレステロールを運ぶ運搬船
体に不可欠で大切なコレステロールを全身の隅々まで運ぶには、とてもいい方法があります。それは、既に身体の隅々まで張り巡らされている血管があるので、その血管を使い血液にのせて、スイスイと運べば簡単です。
しかし、ここで問題があります。
血液にのせてスイスイと運びたいのですが、血液のほとんどは水分で、コレステロールや中性脂肪は水に溶けない脂質(あぶら)です。水と油は溶けずに、はじいてしまうように、コレステロールや中性脂肪と血液は分離してしまい円滑にスイスイと運べないのです。困ったコマッタ!
そこで、スイスイと運びやすいように特別な運搬船を作ります。
リポタンパク質運搬船
運搬船は大きく分けると5種類あります。それぞれの運搬船には、中性脂肪やコレステロールの濃度が違うものを乗せ、色々な場所に運搬したり違う働きをします。
そして、水に溶けやすいタンパク質と結びつき、スイスイと運べるようになって完成した運搬船のことをリポタンパク質運搬船といいます。スミマセン、運搬船は余計でした。リポタンパク質といいます。私は船と海が大好きなので、ついつい。笑!
その完成した5種類のリポタンパク質運搬船を、脂肪の量が多い(比重が低い)運搬船から順に並べてみました。
1.カイロミクロン
2.超低比重リポタンパク(VLDL)
3.中間比重リポタンパク(IDL)
4.低比重リポタンパク(LDL)
5.高比重リポタンパク(HDL)
アレッ!っと思われた方は、もうすでにお気づきかと思いますが、( )の中をご覧くださいませ。見たことがあるアルファベットがありますよね!
そうです!4番目と5番目のLDLとHDLです。
4番の低比重リポタンパク船は、英語で、Low Density Lipoproteinと書き、略してLDLです。そして、これはLDL運搬船で運ばれるコレステロールなので、LDLコレステロールといわれ、別名が悪玉コレステロールと呼ばれています。
5番の高比重リポタンパク船は、High Density Lipoprotein で、略してHDLです。こちらはHDL運搬船で運ばれるコレステロールなので、HDLコレステロールと呼ばれ、善玉コレステロールといわれています。どちらも、皆さんもよくご存じですよね!
リポタンパク質の働きがスゴイ
この5種類のリポタンパク質運搬船のそれぞれの働きを、わかりやすいようにサラッと説明いたします。
1.カイロミクロン
食事に含まれる脂質(ほとんどが中性脂肪)を小腸から、エネルギーが必要な筋肉などに運び、残りは肝臓に運ばれて、今度は、超低比重リポタンパク(VLDL)となります。
カイロミクロンは、80%~90%が中性脂肪で、残りはリン脂質やコレステロールを運びます。
2.超低比重リポタンパク(VLDL)
肝臓で作られた主に中性脂肪を、体の各部の脂肪細胞(末梢組織)に運びます。血液内で一部分解されると、さらにコレステロールの割合が増えたリポタンパク質になります。
超低比重リポタンパク(VLDL)は、約50%以上が中性脂肪で、約25%がコレステロールやリン脂質などを運びます。
3.中間比重リポタンパク(IDL)
VLDLやカイロミクロンが反応して中性脂肪の割合が減り、コレステロールやリン脂質の割合が増えたリポタンパク質で、LDLに転換されます。
中間比重リポタンパク(IDL)は、中性脂肪とコレステロールが半々で、超低比重リポタンパク(VLDL)と低比重リポタンパク(LDL)の中間の性質があります。名前のまんまですね!
4.低比重リポタンパク(LDL)
お馴染みの、LDLです。まさにこのLDL運搬船は体に無くてはならないコレステロールを全身の隅々まで運ぶ大切な船です。その名も、LDLコレステロール船です。
中間比重リポタンパク(IDL)から中性脂肪がほとんど除かれて、濃度の高いコレステロールとリン脂質が含まれており、肝臓で作られたコレステロールを全身の末梢組織に運びます。
このLDLコレステロールが増えすぎて、血液中にLDLコレステロールが多くなると、動脈硬化の原因になり心筋梗塞、狭心症や脳梗塞と、とっても怖い病気になるぞ~!といわれているので、じゃあ、LDLコレステロールは悪いやつじゃん!悪玉だ!悪玉コレステロールだ!といわれているわけです。後ほど、もう少しだけ詳しくお話しします。
でも、確かにLDLコレステロールは多くなると怖いのですが、コレステロールがないと人間は生きていけないということを知ってしまった私です。笑
5.高比重リポタンパク(HDL)
お馴染みの第二弾、HDLです。このHDL運搬船もとても大事な働きがあります。名前は、HDLコレステロール船です。
HDLコレステロールもLDLコレステロールと同様にコレステロールの運搬をするのですが、大きな違いがあります。LDLコレステロールは、肝臓から全身の末梢組織へコレステロールを運搬するとお話ししましたが、このHDLコレステロールは、組織などで余ったコレステロールを回収して、また肝臓に戻してくれるのです。
血管壁などに残されたコレステロールを綺麗に回収して、動脈硬化などを抑える働きをしてくれるわけです。こちらのHDLコレステロールは、じゃあ良い奴じゃん!善玉だ!善玉コレステロールだ!と、なっているわけです。
LDLは、なぜ悪玉?
では、もう少しだけ詳しく説明します。この5つの中で一番コレステロールを多く含んでいる船は4番目の低比重リポタンパク(LDL)で、皆さんが良くご存じのLDLコレステロールと呼ばれているものです。
先程もお話ししたように、この低比重リポタンパクの働きは、肝臓で作られたコレステロールを全身に運んでいるのですが、コレステロールを運び過ぎると溢れて血管の壁に溜まってしまい動脈硬化の原因になったりするので、悪玉なんて言い方をされています。
HDLは、なぜ善玉?
逆に善玉と言われている船は、5番目の高比重リポタンパク(HDL)です。こちらも皆さんよくご存知のHDLコレステロールと呼ばれています。
なぜ善玉なのかといいますと、この船はタンパク質を多く含んでいて、4番目の低比重リポタンパク(LDL)が運び過ぎて血管壁に溜めてしまったLDLコレステロールや、体内で使いきれなかったコレステロールを回収して肝臓に戻してくれるのです。
そして、最終的に肝臓から分泌される脂質の消化液(胆汁)として体から排出される働きなどで、身体に残ったコレステロールをきれいに掃除をしてくれるからなのです。
そうなんです、ですので血液検査で、HDLコレステロール値が低すぎると、体中の余分なコレステロールを回収してもらえる働きが悪くなっているということなんです。血液検査で私は、LDL値だけでなく、HDLも注視するようになりました。
まとめ
リポタンパク質が水と油の関係を見事に解決して、ほとんどが水分の血液を使って、脂であるコレステロールや中性脂肪を、スイスイと身体の隅々まで運ぶことができました。
リポタンパク質の働きってスゴイです!
それも5種類に分けた脂質を適材適所に振り分けているのですから。我ながら、自分の身体を感心してしまいます。(私は何もしてないのですが!)
自分の身体の細胞たちが賢く一生懸命働いてくれているので、せめて、私は足を引っ張らないようにしなくては!と、思っています・・・が、
既に、原発性アルドステロン症という病気で、左の副腎はないのです・・・。笑!この怪獣のような名前の病気が原因で高血圧になり、脳出血も経験してしまった私です。