中性脂肪って何だろう?
私たちにどんな影響があるんだろう?
中性脂肪が高いと危険な理由、高くなる原因を、前回、前々回で解説しました。中性脂肪はちょっと太るぐらいだろうと甘く見てしまいがちですが、中性脂肪が高くなると、とても大きなリスクがあることもわかりました。
中性脂肪が高いと危険なことがわかったので、それならば、なるべく中性脂肪をゼロに近づけるようにすればいいんだと考えて、極端に中性脂肪を減らしてしまうと、これまたヤバイのです。『どんポジ』のポジといいます!
今日は、中性脂肪が低くてもヤバイ4つの理由と4つの原因の話しをします。
中性脂肪が低くてもヤバイ【4つの理由】
血糖値も高血糖、血圧も高血圧、中性脂肪も高中性脂肪など、各種の検査では高い方ばかりのヤバイ、ヤバイが目立ちますが、じゃあ、低ければ低い方が健康なのかというと、先ほどもお話ししたように、そうではありません。
私は、やはり目立つ方の高血圧だったのですが、ヤバイヤバイ(脳出血)しちゃいました。笑!下の記事です↓
上記の体験は、原発性アルドステロン症という病気が原因の、やはり「高」の血圧で、脳出血を経験してしまいましたが、低血糖や低血圧などの、「低」も、とても重大な影響を及ぼす病気が潜んでいる危険があります。その怖さは「高」と同じなので、軽視しない方がイイと思っています。・・・でも、まずまず元気な時に、予防って難しいですよね!
スミマセン、ちょっと横道にそれたので、本筋に戻ります!笑。
血糖や血圧、そして中性脂肪など、それぞれに本来の必要な働きがあります。糖質の必要な働き、血圧の必要な働き、中性脂肪の必要な働き、など、本来必要な働きが見えてくると「低」の影響も自然と見えてきます。
中性脂肪が高いと、動脈硬化を進行させたりするヤバイ影響がありましたが、中性脂肪は血中を流れているだけではなく、私たちにとって、とても大切で必要な働きがあるのです。それは、体にエネルギーを貯蔵するという重要な働きです。ご参考までに、中性脂肪基準値の目安を記載しておきます。
中性脂肪の基準値※
要注意 | 基準範囲 | 要注意 | 異常 |
29以下 | 30~149 | 150~499 | 500以上 |
※学会・団体等によって数値が変わる場合があります。
単位は、mg/dL(ミリグラム パー デシリットル)と言い、濃度の割合などの分類でよく使われるコレステロールや血糖値と同じ単位です。
それでは、「中性脂肪が低くてもヤバイ4つの理由」の具体的な解説を始めていきます。
1.体力が無くなるから、ヤバイ
前述したように、まず中性脂肪は体にエネルギーを蓄えてくれる働きがあります。忙しくて食事を取れなかったり、激しいスポーツをしてエネルギーが足りなくなった時、体に貯蓄してあるエネルギーを使うことができる、素晴らしい働きです。
その貯蓄されているエネルギーは何処から来るかといいますと、余ったエネルギーから来ます。食事からたくさん摂ったエネルギーを、動いたりスポーツをしたりして消費しますが、それでも余ったエネルギーが脂肪に替り、体に貯蓄されるのです。貯蓄が増え過ぎると、ボヨンボヨンになっちゃうかもですが!笑
中性脂肪の低い状態が続いているということは、栄養失調(栄養不足)ということです。エネルギーが余らずに、体にエネルギー(栄養)の蓄えが少ない状態だということなのです。
中性脂肪の基準値(空腹時30~149mg/dl)内でも、中性脂肪の低い状態が続くと、エネルギー不足で体に余力が無く、疲れやすくなったり、休憩しても、たくさん睡眠をとっても、スタミナが回復しない状態が起こります。
食事ができなかったらお腹はペコペコ、体はフラフラで力も出ないし、頭も回らないし、蓄えているエネルギーも無いから使えないし、この状態が続いたらヘロヘロですよね!笑
2.免疫力の低下が、ヤバイ
中性脂肪には、油脂に溶ける脂溶性のビタミン(ビタミンA・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンK)なども一緒に溶け込んで体内をスイスイと巡っています。もちろんこのビタミンも体に必要な働きをしています。中性脂肪が低くなることで、これらのビタミンも不足してしまので、働きも不足します。
多種のビタミンを含む中性脂肪が低くなることで、それぞれのビタミンの働きも低下し、免疫力の低下や、粘膜や皮膚の乾燥、肌荒れ、抜け毛などが起きることがあります。
3.糖質が不足するから、ヤバイ
食事から摂る炭水化物には、「ごはん」にも含まれる糖質(ブドウ糖)と植物繊維が含まれており、その糖質は中性脂肪を作る原料でもあります。
中性脂肪が低いということは、中性脂肪の中の糖質も減ってしまうということです。特に脳は血液中の糖質が主なエネルギー源なので、糖質が著しく減ったりすると、稀に意識障害もありえますのでヤバイです。
血液中の糖質が不足してくると、頭痛やめまいを起こし、意識を失ってしまう場合もあります。
4.体温調節が狂うから、ヤバイ
中性脂肪は身体の体温を一定に保つ必要な働きがあります。中性脂肪が低下すると、その体温を一定に保つ働きが弱くなり、末端の冷えなどの低体温や熱中症を発症しやすくなります。
体内の体温調節をする働きもある中性脂肪が低くなると、低体温や手足や末端の冷えなどの症状が表れることがあります。特に女性には辛い症状で、冷えは万病の元とも言われ、他の病気の引き金になり得ます。冷えるのは体に良くないですよね!寒いし!笑
中性脂肪が高いのもヤバイですが、中性脂肪が低くても、結構なヤバイがいっぱいありました!では次に、なぜ中性脂肪が低くなってしまうのか?その原因を解説していきます。
中性脂肪が低くてもヤバイ【4つの原因】
1.極端な食事制限が、原因
中性脂肪は主に食事の影響を受けやすいので、食事はとても重要です。次のような食事の摂り方をすると栄養不足となり中性脂肪が低くなる原因になります。
・若い女性に特に多い、ダイエットなどで極度の食事制限
・極端に糖質や脂質などを摂らない食事
・好き嫌いが激しく、好きな物だけを食べる偏った食事を続ける
・ほとんど食事を摂らない
2.過度な運動が原因
運動はとても大切ですが、アスリートやスポーツ選手のような極端に負荷の大きい運動を続けていると、体に貯蓄されているエネルギーである中性脂肪が大量に消費してしまうので、中性脂肪が低くなる原因になります。
3.病気が原因
肝機能の低下やアジソン病、ホルモンの異常、バセドウ病などの病気も、中性脂肪が低くなる原因になり得ます。
4.体質や遺伝が原因
体にエネルギーが貯蓄されにくい体質や遺伝が原因の場合も、中性脂肪が低くなります。エネルギー不足になりやすいので、意識した食事を心がけることが大事です。
それでは、中性脂肪が低い場合、具体的にどんな病気が隠れていたり、どんな病気になりやすかったり、どんな病気が疑われるのかをお話しします。
中性脂肪が低いと、気になる病気
前回の記事で、中性脂肪が高いとなりやすい病気は、脳卒中から始まって狭心症や大動脈瘤と、恐ろしい病気がズラっと並びましたが、中性脂肪が低くても負けてはいません。(何か、勘違いしてるかも・・・笑)
肝機能の低下
肝臓病、肝機能に問題があった場合、中性脂肪を作ったり貯蔵したりする肝臓の働きが低下してしまうので、中性脂肪も低くなります。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)
甲状腺機能亢進症(こうじょうせん きのう こうしんしょう)の一般的な原因であるバセドウ病は、自己免疫疾患のひとつです。この場合には新陳代謝が非常に活発な状態になって、中性脂肪を多く消費してしまうため中性脂肪が低下します。
副腎皮質機能低下症(アジソン病など)
副腎の皮質ホルモンでステロイドホルモンの1つであるコルチゾールというホルモンが不足する状態のアジソン病にかかると、副腎機能が低下します。それにより、副腎ホルモンが不足し、代謝異常などの症状が表れます。
腎臓の大きさはこぶし大で約10~12㎝位、重さは約150gなのですが、その上に乗っかっている副腎の正常時の大きさは数㎝程度で、重さは成人男性の平均が、左の副腎は約6g、女性が5.5gほどで、左の副腎は右の副腎より0.5g重いという、とても小さな臓器で驚きです。
他にも、・低栄養・貧血・低体温や熱中症にかかる危険性もあります。
参考文献
・厚生労働省 e-ヘルスネット
・日本動脈硬化学会
・日本人間ドック学会
まとめ
1.中性脂肪は高いだけではなく、低くても危険であることがわかりました。中性脂肪は、数値が低いほど健康だ!とは言えなかったのです。
2.中性脂肪の低い状態が続くということは、
・栄養不足が続き
・疲れやすく
・脳にも栄養が十分に回らず
・身も心も元気なく
・いくら睡眠をとっても、体力も回復できない
・免疫力の低下
このような状態になってしまうということです。
3.中性脂肪は食事の影響がとても大きいので、特に、無理なダイエットや極端な食事制限を続けて中性脂肪を減らそうとする方法は間違っているばかりか、危険な状態を誘発してしまいますので、注意が必要です。